Vol.2 ユーザーから得た学びと改革
―ユーザーから得た学びと改革―
【山井】
1994年から99年までの6期、スノーピークは売上を落として、99年のボトムの時の売り上げは14.5億円だったので、22.5から14.5まで坂道を転げ落ちるように売上が落ちたんですね。
理由としては2つあったと思いますが、1つはブームが去ってしまったということです。
2つ目は、人口構成比の問題がありまして。オートキャンプというのはファミリーキャンプが90%くらいを占めているので、お子さんが中学校にあがった途端にオートキャンプは行かなくなるんですね。
ですので、お子さんが小学校6年生までの世帯数というのがある程度マーケットを形成するんですが、最初のブーム時の親御さんが団塊の世代で、お子さん達が団塊ジュニアの世代だったので、その世代の親子さんが大量にキャンプに行かれた後、人口のくびれが来ますので、人数的にも減ったんだと思いますし、その2つが起因していると思いますね。
僕自身はそんなに、もちろん売上が落ちることは良くないことですが、そんなに深刻には考えて無かったんですけれども、ただ、このまま放っておけないということはすごく思っていて。自分達の事業の存在理由が何なのかとか、我々のビジネスのやり方がそれで良いのかということはもちろん考えていました。
1998年にキャンプのイベントを始めました。スノーピークのミッションステートメントの名前が『The snow peak way』という名前なんですが、それと同じ名前の『snow peak way』というイベントを98年の10月に初めて開催したんですね。
それまでもちろんブランドメーカーなので、BtoCのビジネスだったんですが、正確に言うとBtoBtoCみたいなビジネスです。我々がコンタクトしていたのは問屋さんや小売屋さんで、ユーザーさんと直接お話するようなことは無かったんですね。自分達がユーザーとして開発はしていましたが、実際に使っているユーザーの方と我々が直接お会いしてお話をするようなことはあまりありませんでした。
98年の10月のイベントで初めて消費者のみなさん、後のその方はスノーピーカーと呼ばれるんですが、そのスノーピーカーの方達と初めてキャンプをご一緒させて頂いたんですね。
その時に我々に対して強いフィードバックが2つありまして。1つはスノーピークの製品が非常に高いということを全員がおっしゃいました。もう1つは、みなさんの生活圏の中でスノーピークの物が買えるお店は4店舗、5店舗とあったんですが、どのお店に行っても品揃えが悪くて、実際に商品を買えませんというフィードバック。なので、簡単に言うと、高い、買えないという強烈なフィードバックが2つあったんですね。
土日にイベントがあったので、日曜に帰る時に最終的に腹をくくらないといけないなと思っていまして。売上も5期くらい落ちていましたので、今のままのビジネスを継続していくことはできないな、と。薄々やらなければならないことには気付いていたんですが、その最終決断をユーザー様のフィードバックでしたんですね。
次の月曜日の朝礼で社員の前で、1999年のビジネスはその時点で契約が終わっていたので、1998年と同じものを継続しなければいけなかったんですが、2000年のシーズンからは変えることができる。そのシーズンからは問屋さんとのお取引を辞めるということと、あとは販売店さんが1,000店舗理想とかに乗っていましたが、1商圏1店舗にして、全てのスノーピークの製品を置いて下さる店舗のお取引にすると。
なので、問屋を外して、お店も4分の1に減らすというようなことを決断して、月曜の朝礼で言いました。
我々の真のお客様は問屋さんでもなく、小売店さんでも無く、ユーザーさんですよね。ユーザーさんから高い、買えないというフィードバックがあったので、少なくとも買える値段にして、買える品揃えがあるお店が車で30分から1時間以内にあるということが、最低限言って下さったことに対する僕らの誠意のある回答だと思いました。
実際に物が35%安くなり、2000年のシーズンからユーザーさんが車で30分から1時間移動すれば物が買えるようになりました。マーケットも2000年から2010年くらいも縮小していたと思いますが、スノーピークの売上は2000年から2010年の売上は2倍になりました。
経営者プロフィール
氏名 | 山井 太 |
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役職 | 代表取締役社長執行役員 |
会社概要
社名 | 株式会社スノーピーク |
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本社所在地 | 新潟県三条市中野原456 |
設立 | 1971 |
業種分類 | 農業・林業・漁業 |
代表者名 |
山井 太
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従業員数 | 759人 |
WEBサイト | https://www.snowpeak.co.jp/ |
事業概要 | アウトドア製品の開発・製造・販売、アパレル製品の開発・製造・販売、アーバンアウトドア事業、キャンピングオフィス事業、地方創生事業、グランピング事業 |