Vol.3 ビジネスにならないことをビジネスに
―ビジネスにならないことをビジネスに―
【聞き手】
転機になったのは、2000年のサミットでしょうか?
【髙梨】
実は、もっと前です。ただのシステム開発をしているだけの会社で良いのだろうかということで、当社にいた若手の三羽烏で、どちらかというと「最近こういうことをやりたい」と夢をたくさんあげてくる若者がいたのです。「確かにそうだ。やろう」ということで色々とやってきました。1つは映像の技術です。そして、オープンのPOS、そしてセキュリティという3つ(の事業)を行いました。そしてちょうど95年……その前の花博の頃に、大阪、広島と地方に展開していて、バブルがはじけて大阪(の支店)も立ち行かなくなり、閉めようというときにインターネットをやりたいという者がいました。
【聞き手】
ちょうどマイクロソフトがWindows95を発表したころですね。
【髙梨】
そうですね。そこからセキュリティを始めました。
【聞き手】
では95年が大きな転機ですね。
【髙梨】
そうです。その“種”を(使って)、皆で応援しようということになりました。もともと最初はファイアーウォールという防御壁からだったのですが、「これは面白くないよね」という発想が若手たちにあって、「ハッキングしないと」ということで、最初ハッキングをやりました。これは悪いことですから、これを正義に使おうということからこのビジネスが始まりました。
【聞き手】
まだほとんどそういったハッキングとか、盗まれるという感覚もない時代でしたよね。
【髙梨】
わかっていらっしゃる方はいました。ただ、ビジネスにはならないと考えられていました。今、大手の会社さんもきちんとやっていますが、その頃は“種”は皆始めようとしていましたが、本格的には手を付けませんでした。
【聞き手】
事前に予防しようということは、まだ感覚的には当時はあまりありませんでしたよね。
【髙梨】
そうなのです。あちこちで事件が起きて、やっとそういう情報をマスコミでもオープンにするようになり、国の関係でも、そういう情報を隠すことが問題だということで、色々な問題を出すようにしていますよね。ですので、やっとそこに来てその重要性に気付かれ、やらないと大変なことになるということが分かる人が段々と増えてきました。
それだけではだめなので、経産省がガイドラインを出すなど、「セキュリティと経営はきちんと一体化して考えなさい」という(指針を)出しました。(そうでなければ)大変なことになりますよということです。ですので、これからですよね。
【聞き手】
セキュリティエンジニアとか、アナリストとかも、まだ日本には数少ないと思いますが、そういう方を育てるために御社独自の取り組みはありますか?
【髙梨】
やはり当社は実践からモノが出来ていますので、出来上がったマニュアルをどうにかするというよりも、泥臭いところから始めています。ある出来上がったものを持ってきてそれをただ使っているオペレーションではなく、中身を覗いてるというのがやはり大きいと思います。
例えばそういったことで有数なソフトもありますが、要は犯罪の手口というのはどんどん進化しています。それが分かった瞬間、ここにパッチしてバージョンを上げています。しかしそれまでの時間に関しては、わからないうちに被害に合っているわけです。ですのでそういうものを先取りできるということは強みだと思います。そういう手口や、おかしな動きをしているということを監視センターでずっと監視をしています。
また、「やられた。助けて」という場合に、当社の119というものがあるのですが、飛んでいって覗いてみると、昨日今日の話ではないということなどがわかるわけです。今までにない手口でやられたとか、そういうことが1つの知見になりますね。
経営者プロフィール
氏名 | 髙梨 輝彦 |
---|---|
役職 | 取締役会長 |
会社概要
社名 | 株式会社ラック |
---|---|
本社所在地 | 東京都千代田区平河町2丁目16番1号 平河町森タワー |
設立 | 2007 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
髙梨 輝彦
|
従業員数 | 2,192名 |
WEBサイト | https://www.lac.co.jp/ |
事業概要 | セキュリティソリューションサービス システムインテグレーションサービス 情報システム関連商品の販売およびサービス |