株式会社ラック 24時間365日体制での顧客情報管理を実現した組織づくりの秘訣 株式会社ラック 取締役会長 髙梨 輝彦　 (2016年12月取材)

―経験に勝るものなし―

【聞き手】

2016年から3ヵ年計画として今、TRY2021で、ステージ1ということですが、そこについて少し教えていただけますでしょうか？

【髙梨】

数字だけではない部分があります。数字をただつくればいいというだけではなく、やはり中身がなければなりません。その中身を次どうしていくかというところに、今チャレンジしています。投資しなければなりませんが、外から見れば、資本主義で会社は成長しなければならないということで、数字で答えが出てしまいます。

ただ、それだけではなく、投資をした先々をこれから我々は見せていかなければなりません。2021年、東京オリンピックの後、おそらく色々なものが変わるでしょう。今はそのための準備期間なので、新しいモデルをつくっていく最中です。どれほどそこに資金がかかるかということを、両方抱き合わせながら今、動いている最中です。これが今、ステージ1です。

【聞き手】

城のように見立てて考えてらっしゃいますよね。

【髙梨】

そうです。土台があるうちに色々なことをやっていこうと考えています。そこには目先の数字がいきなりあるのではなく、ゴールは2021年です。それまでに色々な機構をしっかりしようという作戦です。外から見ると、瞬間的に伸びていないと（思われるかもしれませんが）、その辺りはじっくりと長い目で見ていただくと有難いですね。

【聞き手】

本当に目先のことにとらわれるのではなく、将来を見据えて我慢する時は我慢して、やる時は一気にいくという形でしょうか？

【髙梨】

そういう形にしたいですね。

【聞き手】

ご性格にもそういうところはおありですか？

【髙梨】

どうでしょうか。スタッフが良いということもあると思います。僕は結構勝手な人間なので、勝手なことを言っていますが、皆がフォローしてくれます。ただ、そこに皆が乗ってくれないと、裸の王様になってしまいますので、その辺はとても大事ですよね。

【聞き手】

皆さんの気持ちを乗らせるために心掛けていらっしゃることはありますか？

【髙梨】

やはり会話でしょうね。　

【聞き手】

社員の方との会話ですね。

【髙梨】

はい。face to faceで（会話することです）。

【聞き手】

今や1000人を超える従業員の方がいらっしゃる中で、皆さんと会話することはなかなか難しいと思います。

【髙梨】

そうですね。昔は会社の規模が小さく、新橋にあったので、頻繁にそういうことをしていました。

【聞き手】

一緒に飲みに行ったりされたわけですね。

【髙梨】

飲みに行ったり、色々な会話をしたりしました。ダラダラ仕事の話をせず、後は騒いでということができていましたので、1つ心を繋いでやることができたのですが、これだけ（規模が）大きくなると非常に難しいです。ですので、コンパクトにして断層を分け、そこのブロックをいくつか分けてタウンミーティングをしています。

少人数でお酒を飲みながら（タウンミーティングを行い）、そこでメッセージを（伝えています）。上から紙に書いて落とせば伝わるかというと、絶対にうまくいきません。組織があって各長がいますが、その長の受け止め方や言い方によって、下（への伝え方）が全く変わってしまうのです。ですので、これは仕方ありません。降りていこうと思いました。ただ、時間が限られてしまうので（タウンミーティングを）続けています。

【聞き手】

ご自身が経営者でいらっしゃる間にやり遂げたい目標はありますか？

【髙梨】

これからの人に、今まで僕が経験してきたことを教えたいですね。何が大事なのかと。1つの事象だけで見れば、それがとても大事だと言いますが、これだけではなくいくつも（事象）はあります。人間は自分1人で生きていませんし、その空間だけで生きているわけではありません。これは会社も同じです。ということを教えてあげたいですね。

そういういくつかのものがあり、それで算数で言うと、高等数学のようなもので、「1＋1はいつも2ではない」ということを教えていきたい（と思います）。ですので、そういった経験を僕が口で言っても、それは1つのノウハウにはなりますが、それだけでは足りません。そういう経験をさせることが大事なのです。サクセスストーリーばかりで来てしまった子というのは、いつもサクセスストーリーしか頭にないので、弱いのです。人を使うにしてもその痛みがわからないので、弱い子を拾えないわけです。ですから、経験に勝るものはないということを教えたいですね。