株式会社THINKフィットネス 起業は仲間との約束…『GOLD'S GYM』経営者が語る創業秘話 株式会社THINKフィットネス 代表取締役社長 手塚 栄司　 (2017年1月取材)

―描いたビジネスモデルの失敗―

【手塚】

当時の私が習っていた空手の極真会館というところでは、強さを追い求める人間がすごく多くて、本当にすごい人材がたくさんいてですね、そこでもまれているうちに、巷のいわゆる若者特有のいきがったような状態が、なんとなく意味がないと思い始めて、空手の世界にどっぷりとはまり込んでいく状況でした。1回空手をやり始めてしばらくした時に、自分の人生をリセットしたくて、アメリカに行くことを決めたんです。その時は実際にはアメリカに行くお金を持っていなかったので、2年間かけてお金をためて、なけなしのお金を集めて、向こうへ行って色々な形で中学生の時に夢見たような仕事にありつけないかなと思って、アメリカに行きました。

今思えばすごく不思議なご縁があって、私が行ったのはカリフォルニア州のバークレーというところなんですけど、そこの地下鉄の駅の傍に、今でも覚えていますが、シャダックという道があって、そこにキングスという不思議なお店があったんです。入り口に野球のボールが置いてあったので、何を売ってるのかなと中に入ってみたら、そこが実は小学校の時に集めていたベースボールカードを売っているお店だったんです。

アメリカでカードビジネスがあるとは知らなくて、初めて入るとカードがいっぱいあり、自分が持っているカードも売っているわけです。こんな仕事があるんだと。そこにはメジャーリーグのウェアとか、ジャケットとかそういうものも売っていて、これは面白いと思いました。それで、帰国しなければならない時期になった時に、日本に帰って自分の中では、とにかく空手に浸ろうと。一方で、そこで見た商品を日本で持っていったら売れるんじゃないかと。メジャーリーグの商品はどこにも売っていませんでしたし、カードも日本で売っていなかったので。

私は、メジャーのユニフォームもジャケットもカードも、日本でも有名だと思って、これは絶対売れると思い、それが19歳の時なんですが、帰りの分の本当になけなしのお金をはたいてそういうのを買って帰るわけです。これはすぐに日本で売れると思ったんですけど、実際に日本に来てみたら、当時誰もメジャーリーグのことを知らなくて、カード自体の価値もなく、それからジャケットなども売れるわけがありませんでした。その時に、小学校の時に転校してきた仲間、および小学校時代の友人に、本当に私もお金がなく困っていたので、そのジャケットを買ってもらうわけなんです。それぞれ色々と買ってきたジャケットを友人たちが買ってくれたんです。実はその友人たちが後にこのTHINKフィットネスをつくるときの株主になるんです。