Vol.4 マーケティングで掴んだ優位性
【手塚】
台湾に出張にいく機会があって、向こうでトレーニングマシーンとか売っていて、日本にはマシーンを売っているようなところはなかったんですね。それで、家庭用のトレーニングマシーンや業務用のマシーンが非常に日本にはないので、持ってくれば売れるんじゃないかと、まさにマーケットを考えずに、自分たちだけの考えで台湾にいきまして、そことの契約をするためにいろんなことをお願いして、何とか契約をすることができました。そして帰国して、そのマシーンを日本に出荷してもらう段取りを組み、そこからどうやって売ろうかと考えました。どこでこれが売れるんだろうと考えたら、どこも売っているところがないんです。結果的にこれはまずいぞという流れで。だったらそれらを業務用に取り換えてもらって、自分たちでジムを出そうと考えました。
ジム自体も当時、あまりなかったんです。ただ、米軍基地で見たイメージと、後にアメリカ行った時に見てきた海外のジムのイメージがあるので、それを日本につくろうということで、江東区の亀戸に1986年2月28日にオープンするわけです。物を売るのは難しかったですけど、ジムをオープンするにあたって、我々創業メンバーが皆友人、知人、先輩、後輩にお願いしたところ、2月28日までに300人くらい会員として、友人、先輩、後輩が入ってくれたんです。その段階で当時オープンしていたジムがいきなり手狭になってしまいました。
また一方で結構屈強な人間も多かったので、置いていたマシーン、台湾でお願いした家庭用のマシーンをちょっと業務用につくりかえてもらったマシーンでは物足らなくなってきてしまったんです。それなら日本でどこかの器具を買ってそれを取り換えようと思って、そこで初めて日本でどういうものが売っているのかなと調べたんです。そうしたら、日本ではあまり売っていないばかりか、日本で売っている器具はものすごく値段が高かったんです。なぜ海外にあるものが日本にないんだろうと、そのあたりからそこにビジネスチャンスがあると思って、次やる時は輸入して売れるマシーンを設置しようと。なおかつ最高にいいものをと考えました。
結果的に色々な角度から分析して自分たちで取りまとめた結果、やはり当時の西ドイツ製が一番安定感もあって優れていて、なおかつバリエーションも豊富だということで、西ドイツのトレーニングマシーンを買って、それを我々のジムに設置し、そのマシーンを売ろうというそういう一石二鳥の考えをやるわけなんです。初年度は会社全体の売り上げが2900万円くらいでした。ところが2年目にそのマシーンが売れ始めて1億円を超えるわけです。そこで、ここに本当にお客さんの目で見たら欲しいというものが海外にはあると。でも今まではそういうことを考えずに、自分でいいと思ってただ単にやっていたと。従って2年目に西ドイツに行って掴んだビジネスチャンスというかきっかけが、3年目、4年目には大変活きてくるんですが、ちょうどその頃日本でフィットネスブームが始まるんです。
唯一西ドイツ製のマシーンを売っていたのが我々の会社だったので、有難いことに大変よく売れました。しかし、売れれば売れるほど、今度不安が出てきたのです。これがパタッと売れなくなったらどうなるのだろうかという不安が出てきたときに、海外を回っていて出合ったのがトレーニングの専門店でした。そういえば、昔ホームマシーンを売ろうと思ったら日本に専門店なかったなと。
しかし、スイスにはあってアメリカにもある。何で日本にはないんだろうと思って、スイスのオーナーに直談判してやらせてもらったのが『フィットネスショップ』というお店なんです。それは今でも我々の非常に重要な部門としてあるんですが、そこからマシーンの販売だけじゃなく小売業に進出して、少しでも販売先の分散をした上でリスクを下げると。マシーンが売れるとボーンと売り上げが上がりますけど、売れない時もありますし、お店の場合は毎日少しずつ売れていくわけです。そこで初めてサプリメントの販売を始めたり、トレーニングウェアの販売を始めたり、今の事業に繋がるようなことをスタートしました。
経営者プロフィール
氏名 | 手塚 栄司 |
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役職 | 代表取締役社長 |
会社概要
社名 | 株式会社THINKフィットネス |
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本社所在地 | 東京都江東区南砂3丁目3番6号 |
設立 | 1986 |
業種分類 | サービス業 |
代表者名 |
手塚 栄司
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従業員数 | 1300名 |
WEBサイト | http://www.thinkgroup.co.jp/index.html |
事業概要 | フィットネスクラブの経営 フィットネス機器およびフィットネス用品の輸入販売および輸出 栄養補助食品および飲料の販売 フィットネス用品店の経営 ほか |