ユニロボット株式会社 「世界初の技術」搭載の次世代ロボット、誕生の裏側 ユニロボット株式会社 代表取締役 酒井 拓  (2017年9月取材)

Vol.2 ロボットとの出会いと認められる難しさ

インタビュー内容

―ロボットとの出会いと認められる難しさ―

【ナレーター】

大学卒業後は大手商社に就職したが、親族がロボット関係の仕事に従事していたことから、酒井自身も少しずつ、ロボットが秘める可能性を感じ始める。

【酒井】

「右を向いて」や「左を向いて」といった、ロボットの身体性を制御するプログラムの特許が取れるということがわかったので、これはもしかしたらロボットとコミュニケーションをして、当時まだそれほど流行していませんでしたが、新しい人工知能と組み合わせることによって、新しい社会貢献ができるのではないかということを親族と話し合いました。

そこで、2014年に実用化に近づけそうだという見込みが立ったので、私は当時商社に勤めていたため、私の父が代表取締役になり会社を設立しました。私が実際、商社を退職したのは2015年でしたので、その間は父が運用し、退職後に代表取締役を交代しました。

自分がいつ死ぬかわからないと考えた時に、自分たちで本当に社会貢献をしたいと強く思ったのは、「ギネスを達成したからといって、誰かがハッピーになるわけではない」ということに、当たり前のことではありますが、気づいたのがきっかけです。自分たちは達成できたことでハッピーですが、だからといって社会は変えられませんし、その瞬間で終わってしまいます。本当に社会貢献をしたいのならば、自分自身が覚悟を持って取り組まないといけないということを、その活動を通してすごく感じたのです。

NPOをやっている人たちもお金がなくて、何か自分たちが社会にできないかということに使命感を持ってやっています。その使命感が生きていく上で大事なのではないかということで、自分からコンセプトをつくって、何としてでも覚悟をもって社会に貢献できることに取り組みたいと思いました。

やはり大きな会社ですと、当然中期計画がありますので、決められた計画に沿って行くということが会社の経営としては大事ですが、自分が本当にこの領域でやっていくと思った瞬間は、自分自身が覚悟を持たないといけません。覚悟を持たない限り、社会や、受け手の人たちもなかなかその覚悟を返してくれませんので、その気持ちをしっかりと持ってやりたいということで、あまり迷いなく、頑張ろうという気持ちで当時は転職をしました。

【ナレーター】

2014年、満を持してユニロボットを設立。どのような形のロボットが一般に受け入れられるのか、どのように開発費用を集め量産するのか、課題が山積みだった創業当時の裏側に迫った。

【酒井】

最初は携帯型のロボットを考えました。持ち運びができる、『ポケミー』という名前で、当時はつくりました。「ポケット・ミー」ということで、ポケットに入れられるタイプだったのですが、これだとなかなかコンシューマーには受けないだろうと考えました。どちらかというと、まずは家に備え付けるデスクトップ型で、家電と一緒に連携できるようなロボットが必要だというコンセプトにたどり着くのに、半年かかりました。その時に何回もプロトタイプ(原型)をつくり直しています。 1回ここでかなり苦しい思いはしたのですが、プロトタイプの段階なので、まだこの時点ではそこまで大きな問題はありませんでした。

本当に自分が「これでいける」と思った時は、今の『unibo』の原型をつくり、実際にお金がかなりかかるので、資金調達をするというところと、それから後程2016年から17年にかけて行われた、ハードウェアの量産化です。この資金調達と量産化が最も大変なことでした。そこを乗り越えるためには、やはり自分自身がとにかく頭を下げるだけではなくて、やってきたことアピールしていくのですが、ただ、いろいろな人にあたっても、なかなかロボットのある世界や、ロボットが本当に売れるのかということを、信じてくれる人のほうが圧倒的に少なかったのです。

全く信じてもらえないですし、その中で本当に未来が描けるのかと。もともと私はロボットをつくったことはありませんが、逆に知らなかったからこそ、音声認識の会社や、音声合成など様々な研究開発をしている会社にアタックしに行き、それで話をしていただいたときに、「面白いから」と力になってくださるということに一歩ずつ辿り着いていくことができました。

【ナレーター】

地道な活動を経て、2015年、ユニロボットにとって大きな転機が訪れる。

【酒井】

2年に1回開催される国際ロボット展という世界最大の式典が2015年の12月にありまして、そこで『unibo』を初めてお披露目した際、コミュニケーションロボットの中では一番メディアにご注目いただきました。

「『unibo』というすごいロボットがある」ということで、その時にテレビにも5局くらい出させていただき、当時はジャパンタイムズの表紙も飾りました。かなりの反響で、その時に、周りの人たちからも「すごいことをやっているんだな」と認め始めていただくようになりました。それまでは全然認められませんでしたが、その2015年12月の国際ロボット展が大きなきっかけになって、「絶対いける」と思い、そこから走り始め、『unibo』がその後どんどん誕生していくというのが、1回目の大きな波でした。


経営者プロフィール

氏名 酒井 拓
役職 代表取締役

会社概要

社名 ユニロボット株式会社
本社所在地 東京都東京都渋谷区笹塚3-2-15 第Ⅱベルプラザ5F
設立 2014
業種分類 その他の製造業
代表者名 酒井 拓
従業員数 25人
WEBサイト https://www.unirobot.com/
事業概要 生成AIやAI全般に関連した壁打ち・コンサルテーション・PoC開発・受託開発、電話応対業務の自動応答AI電話サービス(ボイスボット)の開発・販売、その他音声テクノロジーを活用したクラウドサービスの企画・開発・販売(unirobotcloud)、コミュニケーションロボットの開発・製造・販売(unibo)、ソフトウェア・ハードウェアの受託開発
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