株式会社農業総合研究所 ~農業に情熱を!「IT×農業」成功の経験則~

Vol.3 2つの職を経験して掴んだビジネスチャンス

株式会社農業総合研究所 代表取締役社長 及川 智正 (2017年10月取材)

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―2つの職を経験して掴んだビジネスチャンス―

【ナレーター】

いつかは農業に携わりたいという思いを叶えるべく、勤めていた企業を退職。妻の実家で農業を始めることになるのだが、及川の想像を超えた現実がそこにはあった。

【及川】

僕が農業を一年間やって感じたことはつまらないって思ったんですね。お客様とか、上司とか部下から「ありがとう」「助かったよ」「またよろしくね」「及川さん土日なのに悪いね」「ほんとに助かったよ」って言われるから仕事のモチベーションってすごい上がってたんですね。こんなに喜んでもらえるならもっと頑張ろうって思って仕事を頑張っていたんですけども、僕がやっていてきゅうり農家ってのは100%JA出荷だったんですね。伝票もらって終わると。この伝票にはおいしかったよ、ありがとうって書いてないんですよ。何が書いてあるかというとまっすぐなきゅうり100本、曲がったきゅうり50本、合計150本って書いてあるだけで。一体誰が僕のきゅうりを食べていて誰がおいしい、まずいって言ってるのかがわからなくて見えてこなかったんですよね。で、何をしたかというと、元々外から来た人間なので2年目から独立をして自分で作って、自分で販売をしたら、もっと面白いことができるんじゃないのかなと思いまして2年目から独立をして自分で作って、販売をしたという。

そんなに農業甘くないですよ。甘くなくてですね、何が起きたかというと、ちゃんとしたきゅうりができないんですね。きゅうりが曲がるんですよ。もう一つびっくりしたのがずっと農協に出荷をしていたのできゅうりをどこに持っていけばいいかわからないんですね。なんとなくスーパーマーケットできゅうりが売ってるからスーパー持っていったら買ってくれるのかなって思ってたんですけど、ドアノック営業してやった結果ですね、なんと年収40万円でした。一応サラリーマン時代は5,600万もらってましたので、自分で独立して農業やって40万円しかもらえないっていうことに愕然といたしまして。で、3年目入った時にもうやめようかなと思ったんですよね、こんなに苦労してこれしか稼げないんだったら向いていないんだろうと思ってやめようと思ったんです。

【ナレーター】

農業からの撤退を決意したその時、及川のまわりにある変化が起こる。

【及川】

何が起きたかというと3年目に入ったら2年目に営業したスーパーさんから注文しなくても自動的に注文が入ってくるようになったんですね。それだけではなくて、「及川さん、友達のナスとかトマトとかみかんとかないの?」「あ、友達のありますよ」ということで、自分のきゅうりだけじゃなくて友達の野菜と果物も売れて。それだけじゃなくて、「及川さん、きゅうりを漬物にしてきてくれ」とか、「きゅうりをサラダにして持ってきて」、いや僕はあのきゅうり農家なのでそんなことはできませんと。「じゃあ漬物工場を紹介するから漬物にして持ってきて」であったり、「カット工場紹介するからサラダにして持ってきて」であったりということで、3年目に入ったら自分のきゅうりだけじゃなくて友達の野菜や果物、そして加工した漬物のきゅうり、カットしたサラダのきゅうりが売れるようになって、多分、地元の生産者さんよりも手取りが増えたんですよね。そこでこれだなと。農業でもちゃんとスーパーさんの要望、末端のお客様の要望をきいて、それに対して提供すればありがとうって言ってもらえるじゃないかと。マーケットインってやつですよね。僕がやりたかったのはきゅうり農家で稼ぎたいということではなくて、農業の仕組みを変えたいと。だったら今やってることを地元の農家さんたちにお話しをしたら、もしかしたら和歌山県っていうところから日本の農業変えられるかもしれない。というところで農家さんに話した結果、みんな褒めてくれたんですよね。そこは凄いよ、評価するよと言われたんですけども、「でもね及川くん、僕らはきゅうりを作ってやってるんだ」と、「わざわざ頭を下げてまできゅうりを売ろうと思ってない」って言われたんですよね。ただ、今ほんとに14年前のことを思うとそんなこと皆さん思ってないんですよ。なんでそうなったかというと地方に行けば行くほどですね、隣近所に関係があったりJAさんと昔からの関係があったり、もっというと若い生産者にはお父さんがいるんですよ。「新しいことやりたくたってできないんだよ」って言う言葉が、たぶんきゅうりを作ってやってるんだっていう言葉に変換されて僕に伝わってきたんじゃないのかなと今では思っています。

【ナレーター】

生産現場から農業を変えることに時間を要すると判断した及川は、その後、大阪に進出し八百屋の経営を始める。この経験が、後の農業総合研究所の設立に繋がることとなる。

【及川】

やった結果はですね、どの業界もそうかもしれないですけど作っているときは1円でも高く売りたいんですよね。なので値上げをしていったんですよね。きゅうり3本50円、60円、70円。でも仕入れる側になったら利益を出したくなるんですよ、だから何をしたかというと農家を叩くんですよね。3本50円で持ってきて下さい、40円で30円で、挙句の果てにはただでもってこいみたいな。「あれ?」と思いまして。両方やったことがあるのに立場が変わると、考え方が変わってくるんだなと。この水と油の関係は両方経験した人間じゃないとコーディネートできないだろうなということと、もう一つは水と油が交わるところ、流通というところをコーディネートしない限り、多分日本の農業は良くならないんじゃないかということで1年間八百屋をやったあとにまた和歌山に戻ってきて、現金50万円で作った会社が農業総合研究所でございます。

社長プロフィール

President's profile
氏名 及川 智正
役職 代表取締役社長

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