【ナレーター】
早い段階で代表就任を前代表であった父に直訴していたと語る小宮山。その理由は、知人のあるエピソードがきっかけだった。
【小宮山】
もともと気概があったことも確かですけども、それ以上に私の知人で若い頃から経営をやっている仲間が何人かいたのですが、その中で、結構その交代劇が非常に劇的な人がいたんです。代表であるお父様が急に亡くなられて、その当時、友人はまだ取締役でもなんでもない、一課長でした。
お父様とは信頼関係のレベルが違うような状況の中で、非常に苦労されて立て直すのに3年くらいかかったという話でした。株式会社銀座ルノアールということで考えた時に、慌てふためいて会社の業績やお客様にもし悪影響が及んだら怖いなと思ったんですね。
結果的に父が代表取締役会長、私が代表取締役社長という形で、2代表という形になりました。もう2代表でもなんでもいいから、まずは私に早くそういう形を取らせてもらって、会社に承継問題についての心配をさせたくないということをひたすら言いました。
若くして社長になりたいという人は、そんなに周りにはいませんでした。社長になると非常に身動きもとれにくくなったり、気苦労も多かったりとか、気持ちが孤独になったりということで、その手前くらいでずっとのんびりいて、5、60代くらいで代表になると考えているような人も周りにはいました。
しかし私は、会社を背負っていくという気概だけはしっかり持っていたつもりなので、そういう事例だとか色々勉強をしていけばしていくほど、早くそういう立場になって、会社というものをなんとか良い形にしていきたい。
ひいてはそれは従業員のためでもあるし、株主さんのためでもあるということに繋がると私は信じていたので。それはもう散々、父と戦いましたね。