クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社 世界25カ国800店舗以上を展開する人気ドーナツチェーン クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社 元代表取締役社長 岡本 光太郎　 (2013年2月取材)

価値観

【岡本】

クリスピー・クリーム・ドーナツには「Creating Magic Moments」という言葉があり、私たちが一番大切にしている価値です。直訳すると「魔法の瞬間を作り出す」ということになりますが、クリスピー・クリーム・ドーナツに来店いただくお客様一人ひとりがクリスピー・クリーム・ドーナツの商品やサービスを通じて幸せなひとときを過ごしていただきたい、そんな思いがここには込められています。クリスピー・クリーム・ドーナツの店舗では、「Creating Magic Moments」の理念をアルバイト一人ひとりまでしっかりと浸透させるような働きかけをしています。クリスピー・クリーム・ドーナツでは、Create Magic Moments を実現するための活動プログラムがあってCMMプログラムとわれわれは呼んでいます。どうしたらお客様一人ひとりに幸せなひとときを過ごしていただけるか、そんな店舗体験を実現できるか、店舗の従業員が、お客様一人ひとりのために考えて意識をしっかりと持ってもらえるようにそういった気持ちを込めてスタートしました。具体的には、全店舗で月に１回ミステリーショッパー（覆面調査）を導入して、コメントも含めてフィードバックを店舗で確認して、改善アクションプランを店舗ごとにアルバイトクルーが主体的に作成してそれを実施しています。

【岡本】

またそのほかにも、全店舗で成功事例の共有会を行ったり、CMMの表彰制度を作って前向きに活動できるような制度を作っています。今では全店舗でCMMの活動が定着してお客様のために何ができるかということを考えられる、そんな意識がクリスピー・クリーム・ドーナツの会社の中で根付きました。

【岡本】

店舗別のCMMの活動の中で、壁新聞というものをやっております。これは、会社の方からこうしましょう、ということではなくて店舗の方から発案があったんですけれども、なかなか営業時間も長いものですから、クルーもシフトの時間が一緒ではないということで、できるだけお客様のために何ができるかという意識をみんなで共通して持つために、こういった壁新聞を作って自分たちで働きかけをしていこうというふうに作ってくれました。すごくクルーが中心となって、カラフルで絵も交えながらかつ、すごく分かりやすくシンプルにポジティブなメッセージが込められた壁新聞は、他の店舗も見習って結構横展開が始まっています。店舗によっては「紙　twitter」というものを作って、今日あったささやかな嬉しいこととか、お客様からもらった嬉しい言葉とかをみんなで共有できるtwitterのようなものを紙で実施しています。

【岡本】

新宿第１号店が、２００６年１２月にオープンして、多くのメディアで取り上げていただいて、そういった中でお客様のクリスピー・クリーム・ドーナツに対する期待値というものは非常に大きいものがあります。遠くから足を運んでいただいて、しかも列に並んで待っていただいて、どんどん期待値って高まりますよね。ですから、単においしいドーナツだけではなくて、せっかく来ていただいたので、そこで期待以上の満足をしていただけるように、われわれが何ができるかということを考えました。そういった中で、ホテルのように１日滞在するわけでもなく、レストランのように２時間３時間ゆっくりお食事をしていただくわけでもなく、結局お客様との接点は、ドーナツをショーケースで選んでいただいて、お会計までだいたい２〜３分なんですね。そういったなかでささやかなそういったホスピタリティをお客様へ伝えることはできないか。そういったことを心がけて、１日たくさんお客様がいらっしゃるわけですが、一人ひとりのお客様にそういった気持ちが伝わるようなことができればいいなと思っています。