綜合警備保障株式会社 あの“砕けたCM”の真意とは。『ALSOK』誕生の裏側 綜合警備保障株式会社 元代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 村井 温  (2013年10月取材)

Vol.5 キャリア

インタビュー内容

―キャリア―

【齋藤】

大変に大事なお仕事をされているなという気がいたしますが、一方でITが充実していくというのはもちろんですが、やっぱり人の部分というのが大きな資産なんだろうなと思いますが、特に信用というのが大事なので、ある意味で同質のレベルの高い人間を育てていかなくてはいけないというようなことで、いわゆる社内教育と言いますか人材教育、この辺はどんなシステムでどの辺が特に力を入れてやっていますか。

【村井】

これは法律で決まっていまして、最初に入った時には何日間やって、そのあとに年に一回、定期的に必ず再教育しようとこれは法律が決まっていまして、最低限全部やるわけですが、私どもはもっとシステマティックに、最初に入った時、もっと長く現場の教育も一緒に合わせて長くやって出てきますと、私どもは警察と同じように階級制度なんです。各階級が昇任する時には確実に管理監督の能力を身につけさせるべく、各階級に昇任するごとにもう一回集合教育する。これが基本で、その途中の過程において新しい業務に入ったりブラッシュアップといいますか、そろそろ忘れてはいけないからもう一回研修と、これをずっとシステム的にするようにしていまして。

全国的に警備のレベルを均一に、少しずつ上げていく方向でやっています。特に最初の初任研修は、これはかなり警察的なものですので、それを見た部外の方がこれはおもしろいと。うちの社員にもやってくれというのでALSOK塾と称しまして、部外の方だけを集めて気をつけと敬礼から厳しくやろうというのをやっていますが、日本人はだいたい基本的な能力は高いので、普段今までやっていないからだらだらしているけれど、ちょっと集合教育をするとちゃんとぴしっとなります。さっきのブラッシュアップではないですが、ちょっと時間があいてしまうとまたダラダラに戻るので、それはまたぴしっと時々やると、それをやっています。

【齋藤】

御社のそういう誘惑のあるような場面といいますか、鍵を預かったりということがありますがいわゆる不祥事というのはほとんどありませんね。

【村井】

私ども現金も相当扱っているのです。これは人間というのはあると弱いですよね。善良な人間も魔が差すことがある。その時にはっと考えたら、これやったら必ずばれる、だめになる。そういう仕組み作り。

【齋藤】

やる気を起こさせないようにですね。

【村井】

今、小型のカメラが今たくさん増えていますね。あのカメラは性能がいいのです。これをちゃんと本人はみんな分かっているのです。あそこにちゃんとつけてあるから、自分がこういうことをしたら全部映るということがちゃんと分かるようになっています。そういうものをたくさんつける。

例えば、ATMに現金を入れますね。カセットではなく生詰めといいまして、現金をそのまま入れる場合があるんです。その場合も、(現金を)入れる時は必ず持ってきたカメラを立てて、カメラに映るようにしてから入れさせる。そういうことをやると、本人はそれでそんな悪い心を持つ人はほとんどいませんが、抑止力になるというそういう仕組みづくり。これをしっかりやっていくということです。内部教育もやりますが倫理教育というのもずっとやっているのです。でも人間というのはどこかで、もしかすると盗めると思うと魔が差すことがあるのです。これやったら必ずばれるということになると。

【齋藤】

芽は摘んでおくという。

【村井】

結構そういうのでお金はかかります。信用第一ですから。幹部といった場合、初級幹部と中堅幹部と経営幹部と違うんです。実は私も警察に長くいまして、それが分かったのは組織の考え方、組織でやるべき規律というものをきちんと下に伝えられる人間は初級幹部としてはいいわけです。何かあったら適切に叱って、「やれ!」と、そういう一つの方向にものを持って行かせるというのが初級幹部としては非常に重要です。

ところが中堅幹部となると警察だったら警察署長、企業ですと支店長や支社長ですね。となると、これはまたちょっと違いまして、これは当然のことながら組織をまとめて一つの方向めがけて、業績を上げるために当然折衝能力や調整能力などが重要で人間力というものが問われる。

高級幹部、経営の幹部となりますと、大局的にものをみて判断できる判断力といいますか、これはまたちょっと違うんです。経営をするような幹部候補生ともなると大局的長期的に見られるか、物事を。そういう目利き、人を見る目利きのあるのが上にいないとそういうのはなかなか出てこないのかなという感じはしました。早く我々もその目利きになりたいと思います。一番いいのは中から育て上げていくのがいいのです。それですと間に合わなないことが出てきまして、新しいこういう人が必要な時間に合わなくなってくると。そうすると、よそから持ってくると全体の建屋の穴があいていたものが埋まる。

【齋藤】

刺激になりますね。時間を買うという意味で。

【村井】

いい方向へ持っていけるというそういうことですよね。時間を買うといいますか、そういう形で来て、やって頂く感じです。

【齋藤】

1兆円目指して確実にいろいろ手を打たれていらっしゃると思いますが、会長になられて社長と上手な分業をされて特に海外展開、あるいはM&Aなど大きなところは会長が引き続きやられると。合わせて今のお話の人材育成なんかについても、これは会社の中だけではなくて、それ以外の人も含めて夢があるといいますか、お持ちのように伺っています。

【村井】

数字の目標がありますので、最初にちょっと申し上げましたが会社をつくった時の私の父、創業者の考えは儲けるというよりも、安全安心な社会をつくるためにお手伝いするという警察の補完的な話もありますけど、という発想でつくった会社なものですから、1兆円というのは、これも会社として一流とある程度認められると会社自体安定しますので、そういう意味がかなり強いのです。ですから根本的には警備会社ですので、立派な警備を提供する。そのために、いろんなことをやっている立派な警備をするためにも会社の基盤が必要ということで、1兆円という、そういう発想です。

【齋藤】

渋沢栄一の片手に論語、片手にそろばんという言葉がありますが、まさにそういうような、その倫理なりそういう天下国家を実現するためにもある程度の収益は必要だし、しかしそれだけでグリーディ(強欲)になってもいけないしと、ここのバランスが非常に大事だということですね。

【村井】

先程の話に戻るとやっぱり役人上がりですので、どちらかというと天下国家のほうへ行きたがる。

【齋藤】

ちゃんと自覚されているところがすばらしいところで。

【村井】

それは放っておくとそちらに行きかねないので、自戒を込めてやっています。

【齋藤】

先ほど申し上げた通り、日本の警備業界に警察、それもそこでしっかり頂上を極めた方が業界を見られるというのは、日本の全体のセキュリティをどういうふうな資源配分なり、どういうふうな棲み分けでするのがいいのかということに大変ありがたい、会長が今ここにいらっしゃる、この会社のこのポストにいらっしゃるということは一国民として大変心強く思います。

【村井】

それは身に余るお言葉でございます。ちゃんと実行あらしめるといいますか、少しでもお役に立てるよう本当にそれはしてみたいと思います。

【齋藤】

では今日はお忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。ご覧の皆さんもさっき会長がおっしゃったように、出来心は絶対ないという自信のある方は是非またこの会社のすばらしさに門をたたいてみられるのもいいかなと思います。どうもありがとうございました。

【村井】

ありがとうございました。


経営者プロフィール

氏名 村井 温
役職 元代表取締役会長 最高経営責任者(CEO)
生年月日 1943年2月12日

会社概要

社名 綜合警備保障株式会社
本社所在地 東京都港区元赤坂1-6-6
設立 1965
業種分類 サービス業
代表者名 村井 温
従業員数 39039 名
WEBサイト https://www.alsok.co.jp/
事業概要 警備サービス業界大手。金融機関向けに強みがあり、現金警備輸送はコンビニエンスストア等へ展開。
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