カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 ~『TSUTAYA』創業者が明かす“ライフスタイル創造論”とは~

Vol.3 図書館をイノベーション

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長 増田 宗昭 (2013年10月取材)

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―図書館をイノベーション―

【齋藤】

TSUTAYAのビジネスモデルが20年ぐらい右肩上がりで成長し、店舗も千何百店になっていくと、それが通信や配信などと複雑化してきました。その中の解決策の一つが代官山の蔦屋書店や佐賀の図書館などの新しい試みだと思うのですが、その話を少しお聞かせください。

【増田】

佐賀県武雄市の樋渡市長が、僕が代官山の宣伝のために出たカンブリア宮殿をご覧になって、話がおもしろかったので会いたいということでお見えになり、「これを武雄市の図書館でできないか」とお話をいただいたのがきっかけです。

実際に僕が武雄市に行って印象に残ったのが、当初十数万冊あり、今年のオープン時には18万冊を超えていた蔵書。18万冊の本が無料で見られる。これこそカルチュア・インフラではないかと思いました。図書館というのはどちらかというとアーカイブ系の本が多いのでちょっと情報としては古く、そういう面ではネットに弱い。最新の情報もあった方がいいなと。市長が代官山を見て感動されたのはたぶん雑誌のコーナーだと思うんです。世界中の雑誌がある。それらを、コーヒーを飲みながら読めたら代官山よりいいのではないか。代官山を上回る価値を作れるのではないかと思ってお手伝いしたんです。

それで調べていくと、年間で30日ほどお休みになっており、夕方は6時で閉まっていたんですね。「年中無休で、朝9時から夜9時までやりましょう」と提案しました。いつでも楽しめて、18万冊の蔵書がある。これはカルチュアですよね。これを武雄市の人々限定の会員制として、Tカードは武雄のTだという事にしようと。カルチュア・コンビニエンス・クラブのコンセプトで図書館をイノベーションしましょうということでやったのが武雄市図書館ですが、利用者の数はたぶん2・3倍になっていて、貸出している冊数も2倍近くになっています。武雄に来られる人の数がものすごく増えていると思います。

【齋藤】

今まで図書館に一度も行ったことない人がみんな来るようになったり、それこそ本を読むだけでなくそこに行くことにより空間や時間を楽しめる、そういう感じが出ていますね。

【増田】

ユーザーの方を分析しますと、3分の2に近い人は新しく利用されています。元々、本の並び方がわかりにくかったんです。例えば、フィッシングの場合、スポーツの中の釣り、というような分類で探さないとフィッシングの本には出合えないんです。普通、フィッシングを求めてスポーツのところを探しませんよね。そういうのではなく、例えばフィッシングだったら「アウトドア」や「フィッシング」という分類で分けられるべきだし、料理に関心のある人はいきなり「料理」から入りたい。子育てをしている人は「子育て」から入りたい。そういう生活の言葉で18万冊の本を全部分類しなおしたんです。分類することによって提案型の図書館になるということなんです。

もっと分かりやすく言えば、図書館というのは元々情報検索のために作られたプラットフォームですが、現在は、目的がはっきりしていれば検索はネットで行えます。そのような時代において、リアルなプラットフォームも検索型である必要はなく、そこに行ったら楽しい、そこへ行ったら何かを発見できるという空間であるべきなのです。また、武雄市も調べてみるとやっぱりプレミアエイジの人が多い。そういう人たちが楽しめる環境として、利用無料の図書館で生活提案もできればこんな素敵なことはないんじゃないかと。実は代官山と武雄は生活提案、プレミアエイジということでまったく共通した同じコンセプトなんです。

社長プロフィール

President's profile
氏名 増田 宗昭
役職 代表取締役社長
生年月日 1951/1/20
出身校 同志社大学経済学部

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