Vol.2 退社を決断し創業した理由
―退社を決断し創業した理由―
【齋藤】
増田さんがCCCを創業する前、鈴屋でのサラリーマン2年目の時に軽井沢ベルコモンズを作られました。その経験というのがその後色々生きてくるのだと思いますが、その辺のお話を少しお聞かせ下さい。
【増田】
僕の仕事の原点はファッションの鈴屋さんでお世話になった10年。特に前半の5年間在籍した開発事業部という部署にて、入社2年目で軽井沢ベルコモンズの開発責任者をやらせてもらった事が大きいです。法律も経営も営業も知らない僕に新入社員を3人つけてもらい、僕と4人で基本的なプロジェクトを進めさせてもらったんです。
何の知的ノウハウのない僕が何を勉強したかというと、市場調査、建物、建築のコスト、建築基準法です。工事代金や家賃設定のシミュレーションもB4ノート何十冊分も行ったと思います。そういう経験をさせてもらったので、直感的にどこをどういじれば投資回収が何年伸びる何年短縮するかというのがわかるようになりました。その時の10年間でやったことが僕の一番の企画人としての財産であり、それはTSUTAYAを始める時もT-SITEをやる時にも活きました。
【齋藤】
そのような財産を得られた環境を飛び出して創業するというのは、どういう決断だったのですか。
【増田】
10年目ぐらいの時に本社の開発事業部から現場に降り、一から勉強しようということもあって心斎橋にあった鈴屋のブラウス売り場の販売員から始めたんです。販売コンクールで一番になった後に京都の店長になったのですが、そういうところでお客様の流れを見ている時に、どうもファッションによる生活提案ではなく、もっと情報的にライフスタイルを提案するということが大事な時代が来るのではないかと思ったんです。服を購入するとき、お客様はその服を着てどのような生活を送るかということの全体のイメージを描き、そのパーツとして服を買っているんだとわかった時に、お客様にはライフスタイルイメージというものを提案するのが必要だろうなと思いました。
お客様が自分のライフスタイルイメージを描く時に素材となるようなものを提供することが必要ではないかと思った時、ファッションを選ぶ場所はいっぱいあるが、ライフスタイルを選ぶ場所がないなと気づいたんです。例えば、お客様は本屋の中でライフスタイルを探しているんだけど、本屋もライフスタイルというより本を売っています。だとしたら本を売る本屋ではなくてライフスタイルを売るお店の中に本があってもいいのではないかと思ったんです。
みんなが本屋は儲からないと言うけれど、本屋だってやり方によって儲かる方法があるのではないか。それが当時出てきたレコードレンタルやビデオレンタルを組み合わせる。本を売るというのは儲からない。しかしレコードを貸すという行為は非常に利回りがいい。しかも、お客様側でいうと物質的にパンを食べたりキャベツを食べたりするがごとく音楽も食べられる時代が絶対来ると思ったんです。それがカルチュア・コンビニエンス・クラブ社名の由来なんですが、音楽をキャベツのごとく楽しめるような社会を作るという点でも、300円でアーティストの世界を味わえるということは絶対に社会正義だからと思って、企画したわけです。お客様にとっても、やる側にとってもいい事だと。
経営者プロフィール
氏名 | 増田 宗昭 |
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役職 | 取締役会長 |
生年月日 | 1951年1月20日 |
出身校 | 同志社大学経済学部 |
会社概要
社名 | カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 |
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本社所在地 | 東京都渋谷区南平台町16-17 渋谷ガーデンタワー9階 |
設立 | 1985 |
業種分類 | サービス業 |
代表者名 |
増田 宗昭
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従業員数 | 1,889名 |
WEBサイト | http://www.ccc.co.jp |
事業概要 | 「カルチュア・インフラを、つくっていくカンパニー。」をミッションとして掲げ、プラットフォーム事業、データベースマーケ ティング事業、公共サービスや地域共生に関わる事業のほか、数々のネットサービスや新たなプラットフォームサービスを企画し、プラットフォームを通じて新しいライフスタイルの提案を行う。 |