貝印株式会社 ~「失敗は進化のもと」世界に名を馳せる刃物メーカー、海外戦略の全貌~

Vol.5 医療分野への挑戦と更なる成長

貝印株式会社 代表取締役社長 遠藤 宏治 (2015年10月取材)

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―医療分野への挑戦と更なる成長―

【遠藤】

医療用品というのは非常にスタンダードが高いと言いましょうか、基準が高いものでして、もちろん医療技術ですから品質レベルを絶えず高めていかないとなりません。我々は刃物を中心にしているので、医療用のメスです。一口にメスといっても、眼科用のものもあれば、皮膚科用のものもあり、歯科用のものもある。色々な所でさまざまな治療を先生方がされるために、そのメスというのが出てくるわけですよね。ですから、技術的に奥が深いものであるということが一つです。そういったものをやることによって、例えば我々のカミソリの多様な刃付けの技術が、コーティングの技術などに波及する影響が多いと言いましょうか。医療技術、医療分野自体は、売り上げがそんなに大きいわけではありません。

今でも、私どもの社内では約10% 行かないくらいですね。将来的には10%を超えると思っていますが、売り上げ的にはそのような比率です。その一方で技術的な部分と、それからもちろん付加価値が非常に高いということや、社会への貢献と言いましょうか、医療技術が高まると同時に、我々の技術も高めていけば先生がもっと手術をしやすくなる。だからいわゆる患者さんのQOL、つまりクオリティオブライフが良くなる。このように色々なメリットがありますから、我々としては非常に重要な位置付けとしてやっております。そして今伸びているのは、皮膚科や眼科などで使われるメスについて、先生方の所に行ってどのような技術が必要なのか、それに対してどういう刃物が必要なのかということをよくお聞きし、いわゆるカスタムメイドのような形でやっている点。我々はそういったこともできるので、丁寧にやっていけば医療用品はこれからもっともっと伸びる分野ではないかなと思います。

やはり技術革新が大事ですね。どんなことでもそうですけれど、特に物づくりについてはイノベーション、つまり技術革新をどんどんしていかないといけないので、昔ながらの刃物作りにとらわれずに、新しいものについてはどんどん取り入れて体内化してやってみる。いわゆるIoTとかそういったものがありますから、それらの中で我々の製品に生かせるものはないかということを、絶えず追いかけていくように心掛けるようにしています。

私ども、KAIにはこういう バッジがあります。私はエッジマークと呼んでいるのですが、KAIを図案化したものなのですね。私が社長を継ぐ前の常務取締役経営企画室長 を務めていた時に、このCI をやって制定したものです。やっぱりあくまで、我々は1万アイテムの商品を持っていますけれど、それらを全部包括するのがこのエッジマークであり、KAIであるというふうに思っています。でも、それだけではお客様へ具体的に伝わらない。

例えば『旬』であるとか、例えば美粧用品の『KOBAKO』であるとか、あるいは『関孫六』であるとか、色々な商品に対するいわゆるサブブランドのような商品ブランドはたくさんあります。それらをお客様の局面で、どのようにアピールしていくのか。お客様の心の中に「これは『旬』だね、でもその大元はKAIだね」と思われるような状況をこれからも作り出し、KAI自身をお客様にアピールしていくというのは、なかなか難しいことだと感じています。

もう一つの例として、私どもの東京にある本社の1階と2階では、Kai Houseという事業をやっています。これは、我々は家庭で使うものを色々と扱っていますから、それらのイメージとしてKai Houseがあるわけです。料理であったり、お化粧であったり、色々な医療の現場であったりとかさまざまな局面があり、それらをKai Houseというコンセプトでまとめている。これも最終的にはKAIにつながっていくということで、色々なことをやりながら。最終的な我々の思いとしては、KAIというブランドに収れんされていくというふうにお客様に理解していただいて、消化していくと言いましょうか、そういう状況を作っていきたいなと思っています。

社長プロフィール

President's profile
氏名 遠藤 宏治
役職 代表取締役社長
生年月日 1955/10/21

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