Vol.3 『Lancers』を認知してもらうための事業戦略
―『Lancers』を認知してもらうための事業戦略―
【聞き手】
個人相手のビジネスって、企業対企業とは違って不安がある。そういったことについて色々なところから指摘されたのでは。
【秋好】
サービスをつくる前からそこは明らかに不安になるだろうと思っていたので、いくつかの機能を用意しました。
例えば個人の方が登録すると、本人確認ができるんですね。免許証等をデジタルデータで送っていただいて、本当にその人がいるか登録住所と合わせて確認します。
そうすると、プロフィールの中に本人確認マークが付くので依頼する企業側はこの人は本当に実在する方なんだというのがわかります。
あと企業にとって一番不安なのはお金なんですよ。お金を払ったのにやってくれない。個人側も仕事したのにお金を払ってもらえない。そこを防ぐのが最も重要だと思っていたので、われわれ“エスクロー”という仕組みを2008年当時から用意しました。
これは何かというと、例えばクレジットカードでいうと、仕事を依頼する時に弊社のサービスにカード情報を企業が登録すると、与信枠というのがあるんですね。
通常、カード登録されると5万円だったら5万円がすぐに決済されるじゃないですか。弊社の場合は、与信枠だけ抑えるので5万円はすぐに決済されません。個人からすると、5万円がこの人から支払われると確認できるわけですね。エスクローした後に仕事をして、仕事が終わったらカード決済を経由して個人に払うという形なんですね。
企業にとっても先にお金を払わなくて済みますし、個人にとっても仕事が終わったらお金が払われる保証がある。エスクローの仕組みがおそらく最初に企業から発注していただけた、すごく大きな要因かなと。
この仕組みをしっかりと提供できている企業は2015年時点ではそれほど多くないですね。
【聞き手】
最初にこういったサービスを多くの方に知らせたり、営業に行ったりというような、そんなこともされていらっしゃったんですか。
【秋好】
今振り返ると3つ大きくやっていたことがありまして。1つは、会社をつくってサービスを展開していたらプロモーションしては遅いと思ったので、2007年から個人ブログをやっていました。
それは経営者向け、インターネット業界向けのブログをやっていて、そこで読者が数千人いたんですね。それで、『Lancers』をリリースした時にブログで告知すると、ブログの読者が1,000人くらい会員登録をしていただけたんですね。
そこの仕込みというのが1つベースにあるのと、2つ目はいわゆるインターネット広告やSEOと言われるようなプロモーションをひたすらやりました。
3つ目はアナログなんですけれども、インターネットで検索して良さそうな個人の方ですとか、法人を見つけてはラブレターを書いていましたね。
「◯◯建設様。あなたのロゴは」と。言葉を選ばずに言うと「もっとよくできる」と。「ここを変えるともっと売り上げが上がった事例があるので、一度是非、試してみませんか」と送りました。
個人の方には、この建設会社がこういうロゴの制作を依頼しようとしているから、あなたの過去のポートフォリオを見るととても素晴らしいので、是非提案してくださいと。そういったラブレターをひたすら送っていました。
【聞き手】
そのヒット率というのはどれくらいなんですか。
【秋好】
確か60~70パーセントはあったと思いますね。
【聞き手】
そんなにあったのですか。
【秋好】
当時の私の日課は、朝8時に会社に行って前日のアクセスログを見て、サポートも自分でやっていたのでメールの問い合わせを30通対応して、そこからインターネットサーフィンをしてラブレターを送って、夕方くらいになると自分でプログラム開発をして、深夜3時か4時に家に帰るというのをひたすら毎日やっていましたね。
【聞き手】
本当に仕事漬けの毎日だったのですね。
【秋好】
仕事っていう感覚ではなかったですね。自分が気付いた可能性を世の中に広げるプロジェクトというか。苦痛もあまりありませんでした。
経営者プロフィール
氏名 | 秋好 陽介 |
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役職 | 代表取締役社長 CEO |
会社概要
社名 | ランサーズ株式会社 |
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本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷3丁目10-13 TOKYU REIT渋谷Rビル9F |
設立 | 2008 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
秋好 陽介
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従業員数 | 152 人 |
WEBサイト | https://www.lancers.co.jp/ |
事業概要 | フリーランス・タレント・プラットフォーム事業 |