ランサーズ株式会社 働き方に改革を！労働の概念を覆したクラウドソーシングビジネスの全貌 ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 秋好 陽介　 (2015年12月取材)

―創業時の苦労を乗り越えて―

【聞き手】

創業当時、体験された大変なことといいますか、そういうご経験はおありですか。

【秋好】

やはり売り上げというか、サービスが使われないというのが2年くらい続いたんですけども、その時はすごくつらかったですね。本当この先どうなるんだろうという、真っ暗な状況で。真っ暗な中をただ前進しているような状態。

でも後ろには戻れないし、後ろに戻ったらもう扉は閉まっているかもしれないしｍの先に出口があるのか分からない。ただ真っ暗な洞窟を徘徊するというか。そんな心境でしたね。

【聞き手】

事業を辞めようと思ったことはなかったのですか。

【秋好】

あります。ありがたいことに、何度かM&Aのオファーをいただいたことがあるんですね。

【聞き手】

ということは、やはり可能性のあるビジネスと周りから思われているということですよね。

【秋好】

お話をいただいたときにその2年間があまりにも辛かったので、一瞬、そっちのほうがいいのかもしれないと思ったこともありました。

ただ、勇気を持って気づいて。頑張って立ち上げて大変だったあの時の自分のマインドに対して、逃げてしまったら本当に申し訳ないと思って、日々逃げずにあきらめずに折れずにやっていた感じですね。

【聞き手】

苦しい期間が2年間あった中で、少しずつ光が差してくるというか、実績が評価されるようになってくる。軌道に乗り始めたなと実感されたのは大体どれくらいの時ですか。

【秋好】

2011年の9月くらいでしたね。サービスをリリースして3年目くらいでしょうか。

最初は荒削りでサービスをリリースして、お客様の要望を見て、マーケティングの動向を見て、世の中にフィットさせていって。するとそのくらいの時期から角度が変わって、依頼数とかが増えていったんですよ。

【聞き手】

その原因は何だったのでしょうか。

【秋好】

お答えしたいところなんですが、私もこれだという確信がなくて、恐らく2、3年間ひたすら毎日積み上げていった改善がピークポイントを超えたということだと思いますね。

あえて1つ挙げるとするなら、震災が2011年3月にあって、企業も個人も働く場所や働き方にもう1回注目する機会になったので、それを考えた時に『Lancers』を見つけていただいたというようなところはあるかなと思います。

【聞き手】

この部分、実は世の中の人が多く知っているんだけど、大きな企業がやっているように見えているんだけど、実は裏側にこの『Lancers』という、うちのサービスがあったんですよという事例のようなものはありますか。

【秋好】

例えばパナソニック様に『LUMIX』というデジタルカメラがあるんですが、『LUMIX』のデザインは一部『Lancers』でやらせていただいたことがありました。

『Lancers』のコンペでカメラのデザインを60種類募集しますということで、そこに対して全国のデザイナーさんが応募して、その中から60個選んで実際パナソニック様で販売していただきました。

直近の事例ですと、今弊社は東京渋谷にあるんですけども、近くに『渋谷ヒカリエ』というものがございまして。ヒカリエのプロモーションムービーでモデルさんを使ったものがあるんですね。それも『Lancers』のランサーさんが、動画の制作をさせていただいていたり。

後は有名どころで言うとユニバーサルミュージックのMINMIさんというアーティストがいらっしゃいまして、彼女が出した新曲のプロモーションムービー、複数のランサーさんで制作・加工してプロモーションムービーをつくったりしました。

【聞き手】

今伺ったどれもこれも、それこそ日本全国、世界から、アクセスされるようなものですね。すごいですね。

【秋好】

2008年は個人に発注して大丈夫かなと始まった『Lancers』なんですけども、今申し上げた企業以外にも、多くの大企業様にご活用いただいています。

実は裏ではこういう個人に発注するというスタイルでつくられているというのは、創業から8年が経って隔世の感があるというか、大変ありがたいことであると思うんですけれども、嬉しいなと思ってますね。