クオンタムバイオシステムズ株式会社 ~DNA解析を1000倍のスピード、100分の1のコストで実現する装置を開発中のベンチャー~

Vol.6 同社がつくる未来とビジネスモデル

クオンタムバイオシステムズ株式会社 代表取締役社長兼CEO 本蔵 俊彦 (2016年1月取材)

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―同社がつくる未来とビジネスモデル―

【本蔵】

我々の原理というのは、「究極の原理」と呼ばれている位、効率のいいものになります。ただ、技術的に非常に難しいものになりますので、研究開発上の課題というのはまだまだ多数あります。DNAシーケンサーというものは、実はその限られた領域というよりは、様々な可能性が、仕様といいますか、様々なアプリケーションとしてはあります。ですので、最近では多くの企業が、もしその既存のシーケンサーよりも10分の1、100分の1の価格でできるのであれば、こんなことが一緒にできるのではないかというような興味もいただいています。ですので、我々の研究活動の進捗があるからこそ、そういうふうに興味を持っていただける企業、もしくは優秀な方々が増えてくるという意味では、順調に進んでいると言うことができると思います。

ただ、それと本当に、研究開発上の問題を技術的な問題を、全てクリアできるのかというのはまた別の問題がございます。そこはやはりその、究極の原理であるからには、解くべき課題の壁も大きいわけで、そこができるかどうかというのは、今後になってみないとわからないという状況です。ただそういった上で、我々プロトタイプの装置、プロトタイプのチップがあります。ですので、今後の目標という意味では、数年以内に、そのプロトタイプが実際に様々な用途で使われ出し、もちろんその時点ではパーフェクトではありませんけども、様々なフィードバックをいただくことによって、改良を進めていく。その結果、しっかりとした製品ができ上がり、さらにフィードバックをいただくというステージへ早く入りたいと思っております。

仮にその装置が使われたら、一体我々のシーケンサーはどのように使われるのかということですけれども、例えば、もちろんその人の個人の遺伝子情報を解析することによって、個別化医療、個人に応じた薬剤の使い分けとか、リスクの診断。ただそれだけではないところがDNAシーケンサーの面白いところでございまして、病気の診断、もしくはリスクの診断ができるのであれば、場合によっては才能、才能というのは個人のユニークな能力ですので、それを、病気を診断するのと同じような方法で才能を診断したり、将来の才能のリスクという言い方がいいかは分からないですけど、可能性の診断ができるようになるケースも出てくると思っています。

今度は人だけでなければ、土壌、土の細菌、これもゲノム、遺伝情報があるわけです。それを詳細に調べることによって、例えば農地であれば、農地の農作物の収率、それが土壌の細菌の種類と組成によって、どう異なるかというのも調べることができます。組成と収量の相関が分かるようになれば、データベースがあれば、それは土地の価格決定に使われるわけです。さらにビジネスモデルとの観点からは、今、IT関連の会社のビジネスモデルというのは、とにかく大量のデータを集める。大量のデータをビッグデータとして解析することによって、例えばマーケティングに活かすなど、色々な広告やモデルが主流ですけども、倫理的にそれがいいかどうかというのはここでは議論はさておき、大量の遺伝情報、これは人であったり人ではなかったりしますけれども、それがあれば、そのデータをもとに何らかのビジネスができる可能性があります。ではなぜそのようなビジネスが今ないのかというと、キーは価格です。

技術的にできるかできないかということであれば、技術的にも、今の技術でもやろうと思えばできることはできます。ただ、大量のデータの基づいたビジネスモデルですので、例えば1回10万円位するものを、10万サンプル解析するとなると、これは凄い資金が必要になりますし、仮にそのデータベースがあったとしても、今度はそのデータベースを使うためのコストも、結局、検査をしなければいけませんので、採算の取れるビジネスになるには中々なりづらいというところがあります。ところが、そのシーケンサーの価格が変わる、つまり10分の1、100分の1になってくれば、そういったアイディアベースのものが現実化してくるわけです。

我々の会社はそういうその将来が来るタイミングを加速するために最も原理上価格を安くできる、そういうシーケンサーの開発に取り組んでいますので、もしそういったイノベーションを起こせるのであれば、我々の開発しているようなDNAシーケンサーでできないと、なかなかそういうことは起きてこないと思っています。ですので、我々は、研究開発、装置の研究開発をしていますけども、ビジネスモデル、特に長い目で見たビジネスモデルという観点からは、そういったシーケンサーを使って様々な今申し上げたようなビジネス、それに限りませんけど、そういうビジネスをIT企業かもしれませんし、そういう農作物に関連する会社かもしれませんし、製薬会社なのか、診断会社なのか、そういう会社とともに、いち早くそういうビジネスを立ち上げ、コンテンツをどんどん貯めていく。これが、我々が長い期間かけて達成していきたいと思うビジョンになります。

社長プロフィール

President's profile
氏名 本蔵 俊彦
役職 代表取締役社長兼CEO

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