クオンタムバイオシステムズ株式会社 ~DNA解析を1000倍のスピード、100分の1のコストで実現する装置を開発中のベンチャー~

Vol.4 第三の選択が生んだ創業の軌跡

クオンタムバイオシステムズ株式会社 代表取締役社長兼CEO 本蔵 俊彦 (2016年1月取材)

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―第三の選択が生んだ創業の軌跡―

【本蔵】

マッキンゼーでは先ほども申し上げた通り、良い経験をさせてもらいました。本当に素晴らしい組織でしたし、絶対に辞めなければならない理由というのはない、自分の中ではいつまでもその組織で働きたいという気持ちもありました。ただ、私が、繰り返しになりますけどもやりたいことは、サイエンス、特にライフサイエンスの分野で非常に大きなインパクトのあることをやりたいわけでして、ですので、私はやりたいことをやろうと。やれることは学んだということで、もっとダイレクトに生の事業を、サイエンスを事業につなげていく役割を探したところ、ちょうどその「産業革新機構」という半官半民のファウンドでバイオ分野での投資、もしくは投資後の会社の価値の向上、そういうようなことを担当するメンバーの募集をしていましたので、これだと思いました。お話を伺い、結果的にマッキンゼーでやりたいという気持ちもなかったわけではないのですけれども、人生は限られていますのでとにかくやりたいことがやれる環境があれば、そこに飛び込んでみようということで産業革新機構へ転職をしました。

もともとゲノムの研究をしていたということもありますし、産業革新機構に入りますと、バイオの分野で本当に日本が今後成長していける分野というのはどういった分野なのかとか、ゲノムに関連する話というのは、やはり自分からも集めにいきますし、集めなくても入ってくることがあります。

そういう中で2012年の夏、起業する半年ほど前ですけれども、そこで大阪大学の研究者が非常に画期的な論文を書いたということを耳にしました。それが具体的に今の我々のシーケンサーのもととなるコンセプトの論文なのですけれども、それをお聞きした時にこれは面白いなと思いました。日本ではDNAシーケンサーを開発している企業というのが、基本的にはゼロでございまして、今ある販売されているシーケンサーというのは全て外資系のシーケンサーになります。ゲノム敗北と呼ばれてしまうくらい日本のプレゼンスがない分野の中で、こういう面白い技術があるのであれば、もしその技術が本当に事業として活かせれば、もしかしたらまだ日本がそういうDNAシーケンサーという今後有望な分野で何かできることがあるのではないかと思いました。谷口教授という、 まさに私と一緒に共同創業者になっている方なのですけども、お話をしたのが、論文が出てからかなり時間が経ってしまいましたけども、2012年の11月にまさにここの阪大の教室でお話しをしました。これが最初のきっかけといいますか、出会いになりますね。非常に面白いと思いますということで、その谷口教授を私の大学の研究者時代の恩師である東大の森下先生という情報科学の先生なのですが、その先生に会ってみたら面白いんじゃないかと。つまり阪大の技術というのは、もののサイエンスであって、情報科学の視点であまり使われていなかったので、それを合わせたらどうなるのかというのを一回議論してみませんかということで(お引き合わせしました)。

谷口教授を森下教授に会わせて、私も入って、最近のシーケンスはどうなっている、こうなっているという話から、この技術にこの情報科学のアプローチをしたらこうなるとかそういう話をして、もしかしたらこれはいける可能性があるのではないかと思いました。もちろん、困難もたくさんその時点でありましたし、ただ先ほどの成長する自信ですとか、問題を解決していくための自信ですとか、それにつながりますけれども、もしかしたらこれができる可能性があるのであれば、やってみる価値は非常にありますし、そもそもそれが、私がやりたかったこと、つまりサイエンスを事業につなげる、かつゲノムの分野ですしそういう考えもあって、谷口教授と意気投合して、立ち上げたのが2013年の1月ということで、お会いしてから2ヵ月後、産業革新機構から立ち上げのその間の経緯になります。

社長プロフィール

President's profile
氏名 本蔵 俊彦
役職 代表取締役社長兼CEO

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