山本化学工業株式会社 ~ウェットスーツ素材で世界シェア70%。日本初の機能性に優れたウェットスーツを開発~

Vol.4 販売戦略と海外との直接取引での注意点

山本化学工業株式会社 代表取締役社長 山本 富造 (2016年1月取材)

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―販売戦略と海外との直接取引での注意点―

【聞き手】

ご自身で経営されるにあたって、おじい様やお父様がしなかったことをやりたいとか、こういう会社にしていこうというような思いはありましたか?

【山本】

市場が変わってきましたからね。僕が子供の頃は、自動車のパンフレットといえば前後左右の写真があって、室内写真があって、それで終わりでした。でも、今は自動車の性能とか、隠れた部分であるエンジンとか、ブレーキとか、その機能面をすごく詳しく書いていて、お客様が形だけではなく内容を評価して買っています。そういう部分で、我々は1980年代後半くらいからより機能面を、我々の特徴を前面に押し出すようにしてきました。そこは他社より少し早かったかもしれません。

【聞き手】

スピード感では他社に負けないということでしょうか?

【山本】

良いものをつくっても、それを伝えられなかったら何にもならないわけですから。それをいかに分かりやすくお客様に伝えるか、そこがやはり大事ですよね。ですので、我々にとってはエンドユーザーに対するエデュケーションをどうするかが大きな課題です。エデュケーションできなかったら、プライスだけで売るしかありませんが、そこにエデュケーションが伴って、付加価値のあるバリューが出てくれば、プライスは安い値段ではなく、リーズナブルな値段になってきます。しかも、それは利益を増やすことにもなります。 商品の特徴をいかに強くアピールできるかというのは、どの市場でも同じではないかと思います。

【聞き手】

中小企業で海外と直接取引されているところは、それほど多くないと思います。直接取引では、どういう点が大変なのでしょうか?

【山本】

1980年代は輸出の書類がものすごく多かったんです。1回出荷するのに、たかが100万円とか150万円のものでも、1,500万円のものでも同じ。つまり、手続きがものすごく煩雑で、大変だったんです。ですが、年を追うにつれて輸出業務も簡素化されてきたので、今はそれほど大変ということはない。どうということもないと、僕としては思っていますね。 また、日本ではどうしても、お客様がいて我々がいるという考え方があります。

【聞き手】

お客様は神様ということでしょうか?

【山本】

でも、海外ではそれが正しいとは限りません。海外でビジネスをする場合も、お客様から無理な要望が出されることが多々あるのですが、そういう時には、「率直に言って、あなたは我々からまだ買っていない。だからお客様じゃない。買った時点で初めてお客様になるのであって、買った時点というのは、出荷時ではなく入金時だから、まだあなたはお客様ではないのに、今その要望をするのはおかしい」と、そう主張します。日本で考えると失礼な話ですが、海外ではこれが意外と通用するんですよね。それはそうだと納得するんです。

【聞き手】

ビジネスパートナーという考え方ですね。

【山本】

アンチダンピングの時、弁護士から習った「アームレングス」という言葉があります。「自分の手を相手の肩に乗せる」という意味で、ネイティブな英語圏の人にとってはあまり良い表現ではないんですが、英語圏の人間ではない我々にとってはわかりやすくて、肩に手を乗せるというのは、まさに肩に手を乗せれば目線は一緒になりますからね。

僕の考えでは、目線が同じということで、「うちは仕事をしたいので、そういうことでよければ取引してください」と、割合早い段階で提案します。すると、「オッケーだ」「フェアだ」と答えてくれるケースが多いんです。おっしゃる通りのビジネスパートナーで、「お客様は神様」のような感覚は外国に行くとないし、日本人がそう思ったところで、相手が思わなければ意味がありません。やはり、相手に合わせた形にしないとね。

社長プロフィール

President's profile
氏名 山本 富造
役職 代表取締役社長

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