株式会社メタップスホールディングス(旧株式会社メタップス) 対象は世界70億人。若きベンチャー経営者、変革への挑戦 株式会社メタップスホールディングス(旧株式会社メタップス) 元代表取締役社長(創業者) 佐藤 航陽　 (2015年11月取材)

―シンガポールでの起業と先見力について―

【聞き手】

ビジネスが少し軌道に乗って、ある程度ご自身の中で、これはもうこのくらいだなと完結したものがあった時に、色々と置いて海外に出たわけですよね。

【佐藤】

本当に軌道には乗ってはいたので、そこは見なくてもいいかなと思っていましたし、あとは次のものが探せていなかったことのほうが焦りはありましたね。

【聞き手】

(海外に)行かれていた間はどんなことをやっていらっしゃったのですか？

【佐藤】

現地の投資家や起業家などに会っていましたね。次にどういう流れが来るのかという話をよく聞いていました。

【聞き手】

日本ではまだ当時、ガラケー全盛といいますか、そんな時代だったのが、海外ではスマートフォンがもう本当に多くの方に使われている状況だったわけですよね。

【佐藤】

まだ使われているというところまではいってなかったですけども、ただ、投資をしている人や事業起こしている人などは、次のインターネットというのはモバイルになるという話は全員共通の認識でしたね。そこは圧倒的に日本と違うところでしたね。

【聞き手】

それで日本に、これを持って行ってまた新しいビジネスをやるんだということで、持ち帰られたわけですよね。

【佐藤】

そうですね。ただ、まだ日本は市場が立ち上がっていなかったので、結果的には日本ではない国から始めないといけないという話になって、シンガポールから始めることにしました。

【聞き手】

日本は、そのあたりに対してはまだ理解がなかったですか？

【佐藤】

そうですね、まだエンジニアのおもちゃというふうに思われていました。

【聞き手】

海外からスタートさせるということに対して、何か不安とか、そういったものはなかったのですか？

【佐藤】

逆に嬉しかったですね。何もなかったです。あとは、自分で24、5歳の時に事業をやって思ったのは、世界中に使われるサービスをつくらないと駄目だなということです。そこを経験しないというのは、会社をやっている意味はほとんどなくなってしまうなと思っていて。私も世界中、色々見ていきたいと思っていたんですね。世の中どうなっているのかを全部理解したいというのがあったので、やらないわけにはいかないと。むしろ今回この事業を選んだのも、グローバルでやれるというのが結構ウェイトを占めていましたね。

【聞き手】

常にこう、先に先に行くということを、ご自身で考えてらっしゃったのですか？

【佐藤】

そうですね。あとは得意不得意だと思っていて、もう流れが来ているのが明らかに分かって、そのタイミングから組織力とか営業力とか経営力などで追い返していく。それが得意な人もいると思うんですね。もともと学生から起業して、何もないところから始めているので、そういう経営力では勝負できないなと最初から分かっていたので、先読みの力がないと、通常の会社と戦うと分かっているからこそ、そういう手を取るのかもしれませんね。

【聞き手】

今までやられてきた中で、必ず来ると思っていやってみたけれど、失敗してしまったなということはあったりするのですか？

【佐藤】

何を失敗と取るかですけれども、それでいうと、最初に立ち上げたプロダクト事業はうまくいかなかったと思いましたね。ただあれは逆に遅すぎたなと思いました。見たもので、それが来るなと多くの人が分かっているものをつくったので、それはよくないなと思いましたね。逆に早すぎたものを軌道に乗せましたね。

【聞き手】

その軌道に乗せる力というか、その先見の目というのは、元々そういうのが魔力のように備わっている人はいないと思うんですけれども、どういうところからそういったものが来るのですか？

【佐藤】

それも必要性じゃないですかね。それが必要で、おそらく自分はこのポイントでなければ勝負できないと思っているから、特化して、結果的にその力が伸びたのかなと。逆に他の力が失われたと思いましたね。