Vol.5 赤字経営からの脱出成功秘話
-赤字経営からの脱出成功秘話-
【聞き手】
弁護士事務所と会社、今の弁護士ドットコムの会社をやられたわけですが、先ほどのご自身のお言葉の中にあったように8期連続赤字でという、そこはさすがに悩まれたりとかっていうのはありましたか。
【元榮】
悩んだというか、やっぱり大変でしたよね。元々収益化の目処がないままスタートして、普通のビジネスマッチングだったら取れるようなマッチング手数料を取れないという弁護士法の規制がある。
なかなかがんじがらめのスタートですけれども、胆力で乗り切るぞ、みたいな。途中からそういう気持ちに切り替えましたけど、最初はもう真っ暗闇だったので、やっぱり弁護士の先生方も元々一見さんお断りという、紹介者がいないと仕事を受けないという時代が100年以上も続いて。
【聞き手】
非常に閉ざされた世界という感じがするのですけれども。
【元榮】
そうです。料亭スタイルなので、そういった意味ではやはりそんなインターネットでまだ見ぬユーザーさんと繋がるっていうのはちょっとお手伝いできません、という形で登録してくれない先生方がほぼ大半でしたので、厳しいスタートでありましたが、必ず自分の原体験が大事。僕の心の支えでしたね。あの時の交通事故で、本当に悲嘆にくれて、どうしようどうしようと思った人。今も絶対にいて、その人はこのネットの時代は誰にも相談できず、ネットで必死に相談している。そういう場所で弁護士と繋がる場所を作るってことは確実にニーズがあるから、ニーズがあるところは必ず事業化するっていう僕の強い信念というものがあったので、これは時間が解決すると思って乗り越えましたけどね。
【聞き手】
どれくらいからいけるなという感触をつかみ始めたのですか?
【元榮】
最初からいけるなと思っているので、一度もいけないと思ったことはないです。孫正義さんも言っていますけど、時代を読んで仕掛けて待つ。これは私も起業したその日から24時間365日起業のことばかり考えていますから、色々とこう勉強するわけですよね。そうするとこう僕の背中をポンと押してくれたり、励ましてくれる先人たちの言葉とか先輩企業の歴史があるわけですよね。だから読んで仕掛けて待つ。まさにそうじゃないかと、弁護士が一見さんお断りの時代からまだ見ぬユーザーと積極的に、しかもインターネットで繋がる時代は絶対来るという僕の確信の元、これを読んだわけですから。で、弁護士ドットコムを仕掛けて、あとはどれだけ待てるかと。
【聞き手】
弁護士としてのお仕事っていうのも、今もやっていらっしゃるのですか。
【元榮】
これは、上場の準備に入った時に主幹事証券会社から弁護士として直接案件を担当するのは、これは止めてくださいと。ただ法律事務所を、オーセンスという法律事務所をやっていますけど、そこの代表であること、代表兼務はむしろ、やはり数少ない、弁護士がまだ3.6万人なので。そういう世界において、弁護士事務所の経営者であるというのは、やはり内輪として仲間として認めてもらえるうえで大事な立ち位置だよねというふうにご理解いただいて。そこは東証さんにも認めていただいてますね。
【聞き手】
ご自身が、現場が分かる弁護士さんであるからこそ、こういったビジネスももっとどうすれば、登録されている弁護士の方がうまく使っていけるかとか、ビジネスに役に立つのかとか。あとは使われるユーザーさん、一般の方々にどうすればわかってもらえるのかというのを考えていけるとつながっていますよね。
【元榮】
そうです。むしろ競合優位性に繋がりますね。
やっぱり一弁護士事務所の経営者として、日々刻々と年を追うごとに変わっていく弁護士の競争環境やマーケティングの最新事情を私たち自身がデータを持っているので、その気づきをそのまま弁護士ドットコムのサービスに反映させることができるというのは、他のネット企業が弁護士じゃない人がやっているネット企業が参入してきた時にそこまで生の情報を遺憾なく活用する。まずもって難しいと思いますので、そこはやっぱりこの2つをやることが、弁護士ドットコムにとって大きなプラスであるり差別化要因であるというその関係性が、今のこの2つやっていることの意味につながっていますよね。
僕の場合は大体イメージして、そこまで行くぞと決めて、自分が信頼できるプロセス、ストーリーを描けたら、もう達成したつもりになって、あとは現実がそれをなぞっていくっていうそういうような目標達成の仕方なので、僕としては起業した2005年の時に絶対上場するって決めているので、僕の中では上場は必達目標です。本当にこれはもう来年上場できるな、くらいになったのが2013年の8月。今までこの弁護士ドットコムというのは、弁護士さんにとっては顧客開拓に繋がるので、最大の受益者の1人が弁護士ですよね。でもこの弁護士さんからサービススタートして8年間1円も頂かないで運営してきたという、そういう運営をしてきたからこそ8期連続赤字なのですが、要はシェアの優先、弁護士のシェアの登録シェアの拡大を最優先して、経済的ハードルをゼロにするという、そのやり方を取っていたんですね。
アリババもそうですし、ヤフーオークションも食べログもそうですし、最初は大体スケールを狙って、最初はやせ我慢をして無料にしていたのですが、それを有料にしたのが2013年の8月なので、すごく初速が良くて、たくさんの弁護士さんが有料会員にコンバージョンしてくれたのですね。その時に自分の中で勝手に(上場の)鐘がカーンと鳴りました。そこからは上場経営者のつもりで生きてきましたけどね。
経営者プロフィール
氏名 | 元榮 太一郎 |
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役職 | 代表取締役社長 兼 CEO |
会社概要
社名 | 弁護士ドットコム株式会社 |
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本社所在地 | 東京都東京都港区六本木四丁目1番4号 黒崎ビル6階 |
設立 | 2005 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
元榮 太一郎
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従業員数 | 543人 |
WEBサイト | https://www.bengo4.com/ |
事業概要 | 弁護士ドットコムの開発・運営、弁護士ドットコムニュースの運営税理士ドットコムの開発・運営、クラウドサインの開発・提供、BUSINESS LAWYERSの運営、弁護士ドットコムキャリアの運営 |