株式会社サカエ 世界最高水準のセキュリティレベルを実現したシュレッダーなどを自社開発 株式会社サカエ 代表取締役社長 松本 弘一　 (2015年12月取材)

―自社ブランド製品開発の裏側―

【聞き手】

医療機への進出を考えられたのはどの時期でしょうか。

【松本】

それはあるブレーンといいますか、後見人が、「お前は2世だけど、何も色がない。ただの親父の延長だろうと。シュレッダーも親父の延長じゃないかと。2世として、何にもないじゃないか」と馬鹿にされて、確かにそうだと思いました。やっぱり何かしなくちゃいけない。もうひとつの柱をつくらないといけないと思いました。一生懸命やっていたのですが、延長線上だと馬鹿にされてしまいましたね。

【聞き手】

悔しいですよね。

【松本】

悔しいですね。何がいいだろうと色々悩んで、家電も色々と難しさがありますが、下請けをしていた時に、なにかというと購買部門から叩かれるわけですよ。来年は(価格を)下げろと。これはいくらで、これはいくらだから、この金額じゃない、もうけすぎだ、１,000、100円は下がると。商品が複雑であれば、分析できないと思うじゃないですか。ですので、医療機の分析装置とか、そういったものは複雑なのでいいのではないかと思いました。
あとは、研修中の所長というのは今でも付き合っていますけれども、もうメーカーは開発とコストダウンだと、絶対他社と同じものはやらない。その人自身もそうですけれど、すごい影響を受けていて、よく爆発事故が起きたのです。マンションなんかでプロパンだとガスが充満して火の元から漏れたりして。そうすると何の関係もない上の階、下の階も集合住宅だとやられてしまうわけですよ。だから電気に変えればいい、人の命ほど高いものはないのだと。それで、医療機だと思いました。
臨床検査、検査分野、血液を取って、その血液からその患者さんの状態を判断できる。そういう装置であれば、直接人が死ぬわけではないので、それだったらいいのではないかと。 なおかつ、それを分析する時に反応スピードは温度に影響を受けるわけですよね。精度よく測るためには、温度を３７度プラマイコンマ１度にコントロールして、試薬と血液を混ぜて、値を出す。そうすると、(自社の)ヒーターの技術が生かせますよね。