テスコム電機株式会社 100万台以上のヒット商品を生み出す「テスコム」のものづくり論 テスコム電機株式会社 取締役副会長 楠野 寿也  (2016年7月取材)

Vol.3 専業メーカーとしての成長とその裏側

インタビュー内容

―専業メーカーとしての成長とその裏側―

【聞き手】

御社が生き残って、そして、今勝っている状況まで持ってこられた要因は何だと思いますか?

【楠野】

そこは正直、一言で言えば、やはり社員の皆の力ですね。先ほど言ったチームワーク、そして、同じ考えを持って一緒になって取り組んできていただいた当時の社員もいますし、今の社員の方たちもそうですし、そういう方たちのおかげだと思っています。

私の場合は、そのときも調理や美容商品もありましたが、非常に変わったユニークな商品を開発してきたというところもあります。たまたま美容室で我々のヘアドライヤーを使って、ブラシを持ちながら、今でもやられているスタイリストさんや美容師さんがいますけれども、いわゆるつや出しですよね。ドライヤーをこのように当てながらつや出しをしている。ドライヤーの熱でつやを出していくというやり方をしているのです。これが非常に重労働なんですね。ある美容師さんが、これは何とかならないか、そういうことが簡単にできるドライヤーができない?という話の中で、実は、今日ではある、我々でいう『カールドライヤー』です。

【聞き手】

『カールドライヤー』ですね。

【楠野】

くるくるドライヤーと昔は言いますが、『カールドライヤー』が世界で初めてです。当時、今からもう44、5年前ですから。美容室でそういったお客様の声、美容師さんの声を聞きまして、それを独自に開発をして、今日あるドライヤーの先にブラシを付けました。ユニークな商品、オンリーワンの商品ということで、そのときの『カールドライヤー』をまずは美容室で出したら、爆発的に売れたのです。

【聞き手】

あれはすごい大発明だと思います。

【楠野】

しかも、それが美容室にとどまらず、今度は家電の量販店、電気屋さんや大手スーパーさんや、それを扱っている商社さんが、卸してくれ、うちに渡してくれというところで、さらにこれが爆発的に売れました。

今まで美容室だったのが、今度は一般市場にも流れていったという形で、それが、当時そういったことで恐らくかなりの収益も出したのでしょう。同じような独自性の商品ということで、バブルの時の1992、3年頃から美容室の中で、元々イオン導入というのがスキンケアのエステサロン関係でありました。それをある会社さんと共同開発ではないのですが、ドライヤーに組み込んで皮膚のスキンケアと、ヘアも同じ組織体で保湿を要するものですから、マイナスイオンのものをどうドライヤーに組み込めるかということを開発しました。3年かかりましたかね。当時、95、6年ですけれども、2万4,800円なんですよ。今から考えても高いですよね。

それが、買っていったお客様がみんな使っていくうちに髪質が変わっていくということを知りまして、それが口コミでバーっと広がっていったんです。

【聞き手】

いいものは高くても売れますよね、本当に。

【楠野】

そうですね。それで、わずか2年足らずでしたかね。100万台近くも売れました。本当です。

【聞き手】

大ヒットですね。

【楠野】

くるくるドライヤーと同じ状況で、つくってもつくっても間に合わないという状況でした。そのときに、そういった『マイナスイオンドライヤー』が当時のバブルの厳しいときからの一つのきっかけになったということもあります。また、ほかの調理家電、例えばジュースミキサー、フードプロセッサー、ハンドミキサーやブレンダーなど売り出したものが、非常に当たってきて、トータル的に売り上げなり事業規模が94、5年からガーッと上がっていきました。また、そういう高いものも売れたものですから、ある程度の収益も上がっていきました。そういう意味で、『マイナスイオンドライヤー』の開発や新しい商品のチャレンジが当時の転換期だったのかなと今でも思います。

【聞き手】

大きな会社さんがライバルである中で、御社がこうして伸びてこられたというのは、そういうところが手を出さないような少し変わったものだったり革新的なものだったり、そういうものを生み出してこられたというところがあるのでしょうか?

【楠野】

そうですね。私どもはやはり専業メーカーというスタンスです。ですから、総合家電メーカーさんとの違いで、自分たちのテリトリー、我々の得意とするところ、小回りやこのような中小企業ですから、やはり決裁も早いです。また、そのようなレスポンス対応も早くしました。まさに、スピードと柔軟性がないと、大手のOMだったらいいのですが、自社ブランドで販売してきておりますから、やはり競合の大手メーカーさんとの戦いになりますと、そういう立ち位置ですね。柔軟さとスピード性を生かして、そういう競争をしていくというところでなければいけません。また、そこにも当然、専業メーカーとしての独自性のある商品を開発していくということに心がけて、強化を図ってやってきました。それが、なんとか今日まで生き延びてきたというところだと思います。


経営者プロフィール

氏名 楠野 寿也
役職 取締役副会長
生年月日 1960年5月23日

会社概要

社名 テスコム電機株式会社
本社所在地 東京都品川区西五反田5-5-7 テスコム五反田ビル
設立 1971
業種分類 電気機器
代表者名 楠野 寿也
従業員数 約230名
WEBサイト https://www.tescom-japan.co.jp/
事業概要 理美容電化製品並びに小型家電製品の販売
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