Vol.4 順風満帆から一転、撤退寸前の事業への配属
―順風満帆から一転、撤退寸前の事業への配属―
【ナレーター】
営業マン、そしてマネージャーへと、順風満帆なキャリアを歩んで来た川端社長でしたが、思いがけないことが起こりました。 突然、撤退も噂されていたガーデニング事業に配属されたのです。しかし、この配属が後々、自身の大きな転機となります。
【聞き手】
今でこそ御社の中でも事業を支える一つになっているガーデニング用品ですけれども、当時任された時というのはいかがでしたか。
【川端】
社長に「(この配属は)ショックなんです」と言うと「お前がミスをしたからこういう配属をしたのではない。でもそう思うか。でも、そうではなくて俺はこの事業を経営の柱にすると言ったじゃないか」と。社長には強い信念があって、やめる気はないわけですよ。「お前がやって駄目だったらやめてもいい」と言われまして、最終手段だからやってくれということになりました。
【聞き手】
それは裏を返せば、ものすごく大きな信頼ですよね。
【川端】
そうですよね。配属を知って非常になえた心が、その言葉を聞いて「分かりました」という気持ちになりました。既にそこそこの会社になっていて、各部門の本部長がいたこともあって、(社長は)滅多に人事には口を出さないようになっていたのですが、ガーデニングの新しい事業だけは何とか本部にする、と言って。
当時社長が、全部署から集めた優秀な人材のリストを人事部長に渡して「これが新しい本部の人員です」と。僕もその人員一覧を見た時、本当に僕の知っている限り全国から優秀な人間が集まっていたのですね。社長は本当にやる気だ、と。
【聞き手】
本気を感じたわけですね。
【川端】
大いに感じましたね。社長は「これで駄目だったらやめてもいい」とは言っていたけれども、「駄目でした」なんて言えないなというほどの人材が集まっていたのですよ。
【聞き手】
そして業績はV字回復されて、その時の実績が今のこのポジションにも大いに(影響している)。
【川端】
V字回復という良い言葉で言っていただいたのですが、業績は元々かなり悪くて数字になっていなかったくらいですから(上がるしかないですよね)。
【聞き手】
もっと使う側の立場に立ってみて、気軽にベランダガーデニングができるぐらいの、素人さんでも気軽に使えるようなものを、ということですね。
【川端】
例えば、ベランダガーデニングをする時にお客さんは何に困っているのかと考えました。土ですよね。捨てられないし重たいし、大体マンションに持って帰るのが重たい。それならできるかどうかは後の話にして、発想としてその悩みを解消するのが商品開発です。手軽に持ち運びができる軽い土なら、ということで、水を入れると膨らみ、燃やしてゴミに出せる、そんな土をつくったら今のお客さんの悩みは解消されます。そういうことをやろうよ、と。
値段はそこに関係ないでしょう。今となっては全製品のことをもう一回考えてやるのですけれども、自分がお客様だったら何が困るか、何が不便かということの追求ですよ。そこからしか新しいものは生まれませんよね。
【聞き手】
その着眼点と、思いついたものをちゃんと開発できる力、ここがやはり御社の強みなのですよね。
【川端】
そうですよね。それには常識にとらわれないことです。当然、法律違反などはできないですけれども、そうでなければ業界の常識から外れていようが、不満点があるならばチャレンジするということです。開発に少々時間がかかっても出していくというチャレンジ精神はありますよね。
経営者プロフィール
氏名 | 川端 克宜 |
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役職 | 代表取締役社長CEO |
会社概要
社名 | アース製薬株式会社 |
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本社所在地 | 東京都千代田区神田司町二丁目12番地1 |
設立 | 1925 |
業種分類 | 化学工業 |
代表者名 |
川端 克宜
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従業員数 | 4,788名 |
WEBサイト | http://www.earth-chem.co.jp/ |
事業概要 | 医薬品、医薬部外品、医療用具、家庭用品などの製造販売並びに輸出入 |