株式会社バルニバービ ~街を変える飲食店!?外食業界の風雲児が語る出店戦略~

商い魂を育んだ学生時代

株式会社バルニバービ 代表取締役 佐藤 裕久 (2017年6月取材)

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―商い魂を育んだ学生時代―

【聞き手】

本日は、外食業界にたくさんのイノベーションを起こしてこられた株式会社バルニバービ代表取締役社長、佐藤裕久社長にお話を伺っていきたいと思います。それでは社長、よろしくお願いいたします。

【佐藤】

よろしくお願いします。

【聞き手】

今ご自身も経営者としてビジネスをされていらっしゃるわけですが、もともとお生まれの実家もビジネスをされていらしたのですよね。

【佐藤】

ビジネスと言えるのだろうか。親父とおふくろ2人のお菓子屋です。今年でもう創業84、5年になる、祖父の時代から始めた商売、いや商いです。

【聞き手】

子どものころからお商売をされている環境で育っていらっしゃるので、商売人としての薫陶を受けた経験はおありだと伺っておりますが。

【佐藤】

子どもの頃、親父がすごく厳しい人だったので、3つしかしていいことがなかったのですよ。まず勉強、家の手伝い、そして本を読むこと。でもこの3つは今になって思えば実はとてもありがたかったなと。もしも先を読んでしてやっていたとしたら、うちの親父あっぱれだなと思って。まず本は、50メートルくらい北側に本屋さんがあって、そこの本は毎月10冊くらいまでは無料で持って帰って良かったのです。もちろんあとで親が払っているのですが。だからまず、本を読むことができた。そして家の手伝いというのはお菓子屋だから、本当に商いなのですよ。小学校の1、2年から「いらっしゃいませ」と言っている子だったから、僕にとっては(商売を)特殊なことと思わないわけですね。

【聞き手】

もう生まれ育って物心ついたときからそういう環境だったのですね。

【佐藤】

そうです。人前に出て、しかもこのお菓子売ったら僕の給食代になるんだろうなと小学校3、4年から知っていたので、そのころからコスト概念もあったはず。そういう意味ではスーパーエリート教育。本当に庶民だけど(笑)。

【聞き手】

英才教育ですよね。

【佐藤】

わかって親父がやっていたら、すごいです。

【聞き手】

でもそういうことを子どものころからちゃんと分からせようと、思いとしてはおありだったのではないですか。

【佐藤】

たぶん伝えたかったのだけど、その結果こんな商売してはいけないと親父はずっと言っていました。「裕久、こんなに儲からない仕事をやってはいけないぞ、こんなに大変な仕事をやってはいけない、もっと君は偉くなりなさい。勉強して偉くなりなさい」って言っていましたね。

【聞き手】

(佐藤社長は)大学を中退して、ビジネスの世界にすぐ飛び込まれたわけですよね。それは(お父様にすれば)ちょっと思いがけない選択をされてしまったのですよね。

【佐藤】

ですよね。裏切られたという父親の気持ちも分かります。一応まあまあ偏差値の高い学校行かせてもらっていたので。

【聞き手】

しかも外国語大学に行かれていたわけなので、それこそグローバルな世界で活躍できるのではないかというところじゃないかと。

【佐藤】

どこかで思っていたかもしれません。

【聞き手】

本当に学生時代もいろいろな選択肢があったと思います。大きな会社に入るという選択肢もきっとあったと思いますし。でもそういうものを選ばなかった。

【佐藤】

当時は学生起業が盛んだったのですね。仲間たちが何人上場しているかわからないほどです。僕は商いの薫陶は受けていたので、そういう流れの中で学校の勉強よりたぶん実社会における真剣勝負に(夢中になってしまった)。学生とはいえ本気だったから。イベントやっても赤字出たら当然補てんしていたし、逃げることはできないし。そういうことを含めて、やっぱり面白い。それで勉強がおろそかになったということだったんじゃないかな。

【聞き手】

大学時代に実際にビジネスに携わってみて、そちらの方が面白くなるというのは必然のような気もしますよね。

【佐藤】

そうですね。だから僕は事業家とか言っていただくこともありますが、自分で事業家と思ったことは今でもまったくないですよ。商売人と思っているし、僕らのやっていることは商い。だって食べ物屋ですよ。1件の、それこそ1杯のコーヒー450円の積み重ねでしかないのですよ。でも僕はそれがしょぼい商売なんてまったく思わないのです。ありがたいと。

今日もこの収録の前に、少し店のテラスにいたのです。そうしたら70を超えた、たぶん毎日来ていただいている方が、「今日は店空いてるな。暇やなあ」ってスタッフに言いながら入ってこられたんですよ。「いやいや、これくらいですよ」ってスタッフが返しているコミュニケーションを見たら、なんか幸せになる。こういう地域のコミュニティの中にちゃんと役割を果たしているんだ。しかも店の状況までわかってくださって、それをスタッフとコミュニケーションができるって。それはむしろすばらしい事業なのですよ。すごいチェーン展開できて。僕らはもっともっとプリミティブで、もっともっと本当に事業ではない、人と人との間に交わされる商いみたいな(ものになりたい)。父親は「商いは“飽きない”ことだ」と言っていました。彼は50年間くらいお菓子屋をやって亡くなった。50年間1件の店を増やすことも、1件の店をつぶすこともなく、ずっと50年間、1度だけ店を改装して。それをやり続けた人なのですね。

【聞き手】

1店舗で生涯ということですね。

【佐藤】

僕は飲食業をやって24年目なのですけど、ちょっとわかるようになってきました。続けるということがこれだけ大きい意味があり、力となり、何らかの、もちろん信頼を含めた積み重ねになっていくということを、彼が教えてくれようとしていたとしたら、僕受け止めようと思うんですよ、父の思いを。遥かな気持ちで見えるようになってきた。すごかったんだな、彼はと思うようになってきました。

社長プロフィール

President's profile
氏名 佐藤 裕久
役職 代表取締役

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