Vol.5 創業時の想いを実現できる人材とは
―創業時の想いを実現できる人材とは―
【聞き手】
上場は2000年の頭の頃からやりたいと思っていたと伺っています。
【佐藤】
よく言われました。佐藤のところみたいな、システムじゃなくて面白いことやろうとかこんな場所でこんなことをやろうと思っている会社は絶対に上場したら駄目だと。上場したら良さが失われるとか、たくさん言われました。
【聞き手】
イメージではそうですね。
【佐藤】
僕は99%か90%かわからないけど、嫌なことは何もないです。大変なことはあります。上場するということは当然多くのステークホルダーが生まれ、いろいろな形でその方たちにちゃんとものをディスクローズしていかなくてはいけないだろうし。色々なものをシェアしているわけですから。僕らが抱えたり覚悟したりしないといけないことはいっぱいあるのですが、それは事業として当たり前のことだと思う。会計をきっちりすることとか、公私混同しないとか、未来の計画に対してちゃんと展望を述べるとか。嫌なことは1個もないのですよ。むしろいいことしかない。
いいこととは、我々のことを多くの人が知ってくださるので、「佐藤、こんな困った物件があるんだけどお前なら何とかできるんじゃないのか」と持ち込んできてもらったりとか。あるいはそれに対して応援する方が増えてきたりとか。また、ディスクローズすることについては、どちらかというと自分ではごまかしたいようなことも正直あります。それができないということは、正々堂々と行かなくちゃいけなくなるということは、むしろ僕のようなずるいことを時々考えるような人間にとってはとてもいいわけですよ。もうお前にずるいことをいう権利はないのだからなと社会から言われている訳です。ちょっとせこいこととか、商売人だからどこかで思うのです。それを思わなくなった人生は、むしろ良かったです。
【聞き手】
これから大きくしていくためにも、新しく仲間も採用していかなくてはいけません。どういう人が社長にとって必要な人ですか?
【佐藤】
2つのことをうちのスタッフには求めています。まず1つは、食べることが好きですかということ。当たり前なのですけど、自分の好きな仕事をしたいですよね。そして、お客様の笑顔が見たいですか?(と聞きます)。でもお客様のあとにカッコをつけています。(別にお客様じゃなくてもいいけど)と。つまり人を喜ばせたいかということ。人を喜ばせたいとはサービス業をやる人間の原点ですよね。人を喜ばせること、人が喜んでくれるのを見て幸せだと思うのがサービス業の原点です。そう思わない人はサービス業なんてやっちゃいけない。それがマネーと思ったとしても、それは気持ち悪いことになるから。その中でしかもサービス業の中で食べることが好きで食べ物屋(を選ぶ)。その2つを兼ねそろえている人ならみんな来いと思っています。
仕事のスタイルの中でいうと、お客様の喜ばせ方というのは色々なスタイルがあります。面白いことを言って手品とかやっている人もいれば、あまり元気じゃないけどお客さんに寄り添ってくれるような子もいる。色々な子がいるから、僕とは違うタイプだとしても、お客さんを喜ばせてくれている人だったらそれに対してなんの文句もないですね。逆にいくら料理ができても客に態度の悪い人にはまったく興味ないし、あの子を外してと言っています。人を喜ばせたいという根源的な思いというものは一番の前提です。お客さんじゃなくてもいいのですよ、道歩いていた女の子がわっと転んでしまったり、車イスで上がらなかったりするときに手伝いたいと思うか。人のためにじゃなく自分のためにですよ。手伝って、ちょっと役に立ってよかったと思うこととか。そういう人であれば、来てくれたら何とかなる。どんなに不器用であっても不器用ならお客さんの心のケア担当をしていればいいわけだから。でもその2つのうちどちらかでも欠けたら去ってねって言っています。うちの会社にいても幸せになれないよと。この2つのことを持っている人間として僕は接するし、その人と歩んでいきたいと言っています。
【聞き手】
今後の構想をぜひ教えていただきたいのですが。
【佐藤】
まったく変わらない。変わらないのですが、1つだけ変わったことがあるとすれば、これくらいのことが我々のリスクの負える限界かなと思っていたことが、上場して色々な形で応援してくださる方が増えて、もう少しスケール感のあることもできるようになったということ。例えば一番初めは35坪の店が600坪くらいになりましたということも含めて、少しサイズが大きいものとか、我々が手がけたらすごく面白くなる、気持ち良くなるということを、さらにやっていけるといいと思うようになりました。少しだけ僕らがサイズアップしてきたのかな。ただ、やりたいことにまったく変化はないし、まったく一緒です。
【聞き手】
今後も今までやってきたことをより大きくしてというか、面白いことを。
【佐藤】
日本中でね。行く街行く街で自分たちが行きたい店があって、全国のその街の人に一緒に働こうと思って働いてもらって、一緒にこの街やこの店やこのエリアを面白くしていこうというのは、一緒にペンキを塗って、一緒に店を盛り上げようと言っていたあの時と何一つ変わっていません。
経営者プロフィール
氏名 | 佐藤 裕久 |
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役職 | 代表取締役会長 |
会社概要
社名 | 株式会社バルニバービ |
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本社所在地 | 東京都港区海岸3-9-15 LOOP-X 14F |
設立 | 1991 |
業種分類 | サービス業 |
代表者名 |
佐藤 裕久
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従業員数 | 993名 |
WEBサイト | http://balnibarbi.com/ |
事業概要 | 飲食店の経営及び運営、飲食店の企画及び経営に関するコンサルタント業、食料品・飲料の製造・加工及び販売、結婚式・パーティー・宴会等の企画運営及び受託 |