株式会社オールアバウト ~情報で社会システムに変革を。『All About』成功の裏側~

Vol.3 新規事業を成功させるために重要なこと

株式会社オールアバウト 代表取締役社長 江幡 哲也 (2017年7月取材)

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―新規事業を成功させるために重要なこと―

【江幡】

事業のアイディアがいっぱいたまったので、ボスに事業開発もやりたいと言って、マーケティングデザイン室という独立した部署を作りました。ITとマーケティングの重なる分野で新規事業を作っていく部署。それを立ち上げて責任者になった時に世の中にインターネットの“イ”の字が現れたのです。

当時はずっと営業で走り続けていたので、少しインプットもしたいということでアメリカに行ったりとかビジネススクールに行ったりしながら、世の中の不具合をどう事業化するかというそれまで蓄えていたアイディアを(形にしていった)。事業企画を100個書いた年もあります。その中からよさそうなものを提案して、そのいくつかを実際に事業化するプロセスに入っていきました。時はまさにインターネット時代の前哨戦で、93年くらいからインターネット界隈に携わっていることになります。

リクルートでいろいろな事業を立ち上げていましたが、リクルート全体が情報産業です。ある情報を企業・業界とその利用者である生活者の間でマッチングしていくというビジネスを、情報誌という紙でやっていたわけです。これはインターネットが一番得意とする形ですから、インターネット化を図っていかなくてはならないという時代になりました。

僕はそれをできる人間としてある日突然、本社の経営企画のインターネット化のリーダー、そして中長期の戦略のリーダーに異動になりました。リクルートはどちらかというと自前主義です。自分たちでやる。自分たちで考えた独自の事業をやる。オウンルールをつくって最強の存在であり続けるというのが自分たちでしたけど、その鉄則が崩れるかもしれなかった。ベンチャーは圧倒的なスピードでお金を集めて、どんどんいろいろな技術や金融手段でどんどん変えていきます。そういうプレーヤーがライバルになるというときに、そのやり方にもチャレンジしなければなりません。アメリカのインターネットのベンチャー企業へ投資したり、ジョイントベンチャーを組んでみたり、今は当たり前のように使われているファンドなどをうまく使ったりしてお金を投資して、その先の事業会社との関係を作っていくとか。事業だけでなく、そのように経営の手腕も変えることも行っていました。

だいたい1999年には、ほぼ戦略を書き上げ、大枠の未来も書き、いくつかの手を打ちました。僕はどちらかというとスタッフよりは現場が好きなので、その中の一つに自分の中であたためていた事業があり、それが今のオールアバウトの事業でした。僕はリクルートが大好きで愛していましたし、最初はリクルートでやろうかと忍ばせておいたのですが、オールアバウトという事業は、立ち上げのプロセスがちょっとリクルートの規範に合わない事業だったのです。非常に長期的なスパンで考えなければならないし。リクルートはどちらかというと短期的だし利益志向です。

ちょうど99年の夏に、僕が考えていた事業と同じようなサイトをアメリカで立ち上げる会社がありました。それがアバウトドットコムという会社です。彼らに話を聞きに行こうと、情報収集に行ったのですが、アメリカのネットベンチャーで注目されているところは、そのあと2番目の市場である日本に出ます。日本に来る予定があるみたいなので、じゃあ一緒にやろうかということになりました。リクルートとしても海外のネットベンチャーとのジョイントベンチャーを経験する題材として、独立するという形にして立ち上げをしました。

2000年に会社がスタートして、資金調達をし、初期の創業メンバーは8人。リクルートから来てくれた人が結構いまして、立ち上げして半年以内に50人くらいに増えました。ありがたかったのですが、最初はどんどんお金を使うので、お金があるとはいえ、どんどん減っていきます。さらに2001年2月15日にサービスがスタートするのですが、2000年はネットバブルの盛り上がりがすごく、2001年が開けた瞬間にバブルが崩壊して、ネットは悪だというような感覚にグワッと世の中が変わったのです。その中でのサービスの船出。

最初の2年半くらいは、立ち上げ準備も入れると3年くらいは本当にやることなすこと計画通りいかず大変でしたね。僕は大変と思っていませんでしたが、大変だったと思います。僕は何にも心配していなかった。なぜかと言うと、新規事業に一番重要なのは、ビジネスプランの筋がいいかどうかは前提としてありますが、あれこれ考えずにあるブレイクポイントまでは突っ走るということなのです。僕には見えていました。まずマーケットが必ずこのタイミングで絶対この事業を必要という自信がありました。なので、そのタイミングを待ちました。

問題は周りではなく、自分たちなのです。ゼロイチのときに一番駄目になるのは、自分たちが内部崩壊していくことです。ユニークユーザーという指標がありまして、重複を除いた月間利用者数500万人にとにかく持っていくんだということを一つの指標にしていました。そこまでは何も考えずに前向きに、とにかく突っ走ろうと。僕らがやっていることは何も間違ってない、みんな心配しないでいいと。お金とか全部僕がやるからと。

ということで順調に、みんな心配しながらもお金を使っていって(笑)、どんどん人も増えました。僕は絶対に外堀は守りましたし、もちろん事業も一緒にやりましたが、一緒に立ち上げてくれた人たちがまい進してくれたおかげで、3年目くらいに500万人超えたのです。そこから一気にガッと(盛り上がりました)。

社長プロフィール

President's profile
氏名 江幡 哲也
役職 代表取締役社長
生年月日 1965/1/1

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