Vol.1 プロローグ
―プロローグ―
【齋藤】
本日はドトールコーヒーの鳥羽名誉会長に大変お忙しい中お時間を頂戴し、ご自分の成功の過程でどういう個人としての決断をされてきたか、あるいは会社として事業として、どういう変革をして、そのためにどういう決断に至りどういう悩みがあったのか伺わせて頂きたいと思います。鳥羽会長、今日はよろしくお願いします。最近は社長を退かれ、名誉会長になられてからはどのような日々を過ごしていらっしゃるんですか。
【鳥羽】
私は前々から日本経済に対する危機感を持っていました。今でも必ず破綻すると思っています。そういう状況になった時に世界各国をみても、一人の優れた指導者によってその国は立ち直る。英国を立て直したサッチャーさんや、どうにもならない中国の状況を立て直した鄧小平、最も私が尊敬するのはシンガポールのリー・クアンユー、マレーシアのマハティール。
今現在プーチンさんもロシアを立て直すという大変大きな役割を果たしています。同志とともにその時期になったら然るべき人を選び、その人を支援してこの国を変えなくてはいけないという思いから、本社の9階にサロンを作り、いろんな政治家の方々一般の事業家の方々、いろんな方にお会いするということを昨年、一昨年までやっていました。
【齋藤】
会長は徳川家康にも大変傾倒されてその書も何度もお読みになられているようですが、そういう決断の時の熱意や忍耐やその時を上手に使うとか、そういうことが単に歴史上の話ではなく今の政治には必要でそういうことができる人が必要だという思いは変わらないわけですね。
【鳥羽】
そうですね。徳川家康の人生って何だったのだろうと考えた時に努力、忍耐、時ということの繰り返しの人生だったのではないかと感じました。まず正しい目標を持ち、それに向かって努力をしていく。しかし努力をしてもなかなか自分の思うことは思うようにならないというのが現実で、その時はじっと耐え忍ぶ。信長の下に耐え忍び、秀吉の下にずっと耐え忍び、そして着々と自分の勢力を蓄えて時いたれば我が思いが成就するということで、人生というのは努力・忍耐・時、努力・忍耐・時の繰り返しだというふうに私は理解しました。
他の武将と違うところは欣求浄土(ごんぐじょうど)という考え方を打ち出したこと。大変な戦国でお互いに殺し合っている中で殺戮のない平和な世の中を作りたいということを掲げたわけですから、矛盾はしていますがすごいことだなと思います。信長は天下布武とやったわけです。これはポリシーだと思うんです。力を持って全国を制圧する。そして秀吉は千成瓢箪(せんなりひょうたん)を掲げて奪い取ったものを分け与えることによって率いるという形式をとった。それぞれの武将のポリシーがあったわけですが、その中でいちばん優れていたポリシーを持っていたのが徳川家康なんじゃないかと考えています。
経営者プロフィール
氏名 | 鳥羽 博道 |
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役職 | 名誉会長 |
生年月日 | 1937年10月11日 |
会社概要
社名 | 株式会社ドトールコーヒー |
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本社所在地 | 東京都渋谷区神南一丁目10番1号 |
設立 | 1962 |
業種分類 | 小売業 |
代表者名 |
鳥羽 博道
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従業員数 | 926名 |
WEBサイト | https://www.doutor.co.jp/ |
事業概要 | コーヒーの焙煎加工並びに販売、食品の仕入れ、販売及び輸出入、飲食店の経営、フランチャイズチェーンシステムによる飲食店の募集及び加盟店の指導 |