株式会社ドトールコーヒー ~一文無しから生まれた日本一企業 『ドトール』誕生の軌跡~

Vol.5 キャリア

株式会社ドトールコーヒー 名誉会長 鳥羽 博道 (2013年7月取材)

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―キャリア―

【齋藤】

会長はご自分に対してものすごく厳しく徹底的に勉強されて、詰めて決断されるということですからたぶん社員に対してもそういうことを求めていらっしゃるけれど、そこのところいかに上手にマネージするか、才能を伸ばしていくかというようなことに、ここまでのお話のような工夫をされたんだと思います。どのように社員教育というのはされたのですか。

【鳥羽】

ワンマンにはワンマンだったと思います。上場ということを心がけた時に、組織を作らなくてはいけないという方向に向かっていったんです。大家族主義的な形でやってきたこれまでに対して組織を作らなくてはいけない。組織を意識していくとだんだん人間関係が冷たくなっていく。それに自分が耐えられなくなってきたんです。上場するためには組織を作らなくてはいけない。組織ということを意識しすぎると人間関係が非常に冷たくなる。

それをどうしたらいいんだろうかと悩んでいた時に、仏教を勉強している方が私の隣に車に乗っていまして、その方に自分の悩みというのを打ち明けたんです。そうするとその方が、「鳥羽さん、しょせん上に立つ者は主師親の三徳を備えなくてはいけないんですよ」と言ったんです。「主師親の三徳というのは何ですか」と言うと、時に主人でなければいけない、昔は主人に対する丁稚。丁稚の面倒を見る、また丁稚を厳しく指導する、叱る。主師親の親は時には親でなければいけない。親の愛情を持ってまた厳しく指導するということもあるけれど親の愛情というのも持たなくてはいけない。それから師匠でなくてはいけない子弟の関係ですから主師親の三つの徳。上に立つ者は主師親の三徳を備えなくてはいけないと言われた時は、車を運転しながら涙がぽろぽろ出てきました。分かったと。それが大きな一つの転機になりました。

組織というものを作りながらも主師親の三徳、時に主人、時に親、時に師匠でなくてはいけないということで大きく自分の考え方が変わってきたと思います。ですから相当厳しくやってきたんでしょうけどみんな辞めていった社員、その他の社員が何十周年となると辞めていった社員もみんな集まってきてくれるということで、それはありがたいことだと思います。社訓、手帳の中に全部書かれているのですが、誠実、人間にとっていちばん大事なことは誠実だから嘘をついてはいけないということ。正義感、会社に対する不正があった時にそれを黙っている社員ではダメだと。会社を糾弾するというそのくらいの正義感を持ってほしいと。新入社員が入る時いつもそんなことを言うんです。正義感を持って、もし会社におかしなことがあったらそれを糾弾するという、そしてその会社を正そうとするような情熱がなくてはダメだということを、事例と共にお話しします。それからやっぱり、どんなことでも確実に責任を負うこと、積極果敢、自己峻厳、自分に厳しくなくてはいけない、そして謙虚であるという。その5つ。

それが人間、社員としての生き方というか私自身の生き方ということで、毎朝それは全社員で唱和しています。それから今言ったような社是、社訓、スローガンに加え、いつしか私の6つの座標軸、日頃言っている基本になる6つの考え方が手帳の中に書かれるようになりました。この3つを全員で唱和するということによって考え方を統一するというふうな、その考え方に沿わない人というのは自然に辞めていきます。沿った人は残ってくれて大変な努力をしてくれる。

社長プロフィール

President's profile
氏名 鳥羽 博道
役職 名誉会長
生年月日 1937/10/11

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