GLM株式会社 ~100人中100人が無理だと言った、幻のスポーツカー復活劇~

Vol.4 失敗からの再挑戦と運命の出会い

GLM株式会社 代表取締役 小間 裕康 (2015年11月取材)

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―失敗からの再挑戦と運命の出会い―

【聞き手】

このGLMという会社を立ち上げられたわけですが、この事業は実際にどうでしたか。

【小間】

構想であったりとか、事業の面白さというものがあれば色々な人や企業を巻き込めるのではないかなというふうに思っています。

最初に立ち上げた時は大学生や研究者ばかりの頭でっかちな組織で、ビジネスモデルを考えたりとか技術の構想ばかりを考えているようなチームでした。実際に手を動かす人間がいなかったんですね。ただ、ああでもないこうでもないというように話し合う期間もとても大事でした。本当に自動車産業に関係がないような学生さんたちの意見もどんどん取り入れられて、事業のコアとなるような考え方が半年間ないし1年間で築き上げられたのではないかと思います。

そこでいよいよこの構想を形にしようというふうに思い技術者の応募をかけたところ、技術者の応募の中から『トミーカイラ』という京都が生んだスポーツカーブランドで働いていたエンジニアの方が飛び込んできてくれたんですね。

【聞き手】

それもまた運命の出会いですね。

【小間】

『トミーカイラ』というブランドは、調べてみると色々な大手の部品を流用しながら車を作り上げている会社でした。しかしコアとなるシャーシの部分は自分ですべて設計をし、世の中に200台以上販売しているメーカーでした。日本の産業の中で数百万台、数千万台を出している会社とは全く違った方向で自動車産業に参入できたベンチャーの会社が日本にあるんだと驚きました。やっていた構想がもしかしたらここと一緒にやることによってできるのではないかと思いました。

残念ながらその会社は経営破綻してしまっていましたが、そのエンジニアの方に、当時の社長を紹介してもらえませんかということで、その創業者である冨田氏にお会いする機会をいただきました。そこで構想を話して、我々は自動車産業にチャレンジしたい。しかしいきなり大きな産業はできないと思っているのでステップを踏みたいという相談をしました。その際に、少量でもビジネスになるというのはスポーツカーであって、電気自動車の技術は発進の加速であったり、本来スポーツカーとしての重要な要素を技術として持っている。なので、スポーツカーを少量で売りに出すということは我々の最初のステップとして凄くシナジーがあるのではないかと話をしました。すると冨田氏もそれに乗っていただいて、今までのノウハウやそういう小規模で作っていったサプライヤーさんも含めて紹介しながらスタートしようということで役員にも入っていただき、うちの会社をさらに加速することができました。

こういった冨田さんにお会いすることができて、『トミーカイラ』というブランドを継承して京都の部品メーカーさんとの共同開発で得たパワートレインを積んだ車ができる。ここまできていよいよ、ミカエルというシャーシをまずはその昔にあったプロトタイプをベースに試作をしたんですね。ところが作ってみると、思っていたほど簡単ではありませんでした。パソコンのように、組み合わせて起動すれば立ち上がるのかなと思ったんですけども、そんなことはなく、もうオンオフで動くような本当にただのチョロQのようなものだったんですね。加速もあまりなく。

【聞き手】

ラジコンカーのような。

【小間】

ラジコンカーのようなものですね。加速もよくないですし、車自体にせっかく『トミーカイラ』といういい車体を使っているにもかかわらず、パワートレインとの相性が悪くてですね、車体の良さをうまくPRができない。挙句の果てには、それを作ったものを国土交通省に持って行って、ナンバーを取らせてくださいと言うと、そんな数十年前の安全基準で造った車を今の基準で許可を出すわけにはいかないと言われまして。もう全てがそこで打ち止めという結果になってしまいました。

【聞き手】

それまでの苦労が水の泡っていう状態ですね。

【小間】

思っていたことと違っていてここからが本当に大変でした。一から考え直さないといけない。シャーシも、今の安全設計に基づいて考えなければいけない。さらに、パワートレインの技術を集めるだけではなく、部品を集めるだけではなく、ちゃんとそれを制御する頭脳を自分達で作らないといけない。

ここから、実は当たり前のことなんですけども、自動車づくりの基礎を始めました。ただここで運が良かったのは、エンジニアはどんどんとうちの会社に入ってきてくださっていました。その中で元大手の自動車メーカーで車体設計をやっていた人間が、今の技術の責任者としてやっているんですけども、彼が、『トミーカイラ』という会社のコンセプトを踏襲しながらも一から全て車体を設計し直してくれました。当然大手で培った安全基準の考え方であったりとか、そういうものをちゃんと盛り込むことによって車の挙動、走る・曲がる・止まるというものが非常に面白いものになってきて、そして、電気制御をちゃんとすることもエンジニアリングとして出来てきた中で、ただ部品を合わせただけの車ではなくて、ちゃんと自分のアクセルやハンドリングで気持ちのいい挙動をするような、ちゃんとしたスポーツカーに仕上がっていきました。

社長プロフィール

President's profile
氏名 小間 裕康
役職 代表取締役

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