株式会社リエイ 36年連続増収！“日本式”介護事業でアジア圏を攻める企業が明かす、安定成長の秘密 株式会社リエイ 代表取締役社長兼会長 椛澤 一　 (2016年11月取材)

―同業他社から評価される 同社の強み―

【聞き手】

今もし生まれ変わって、もう一度ビジネスをされるとしたら、どのようなビジネスをされたいと思われますか？

【椛澤】

自分が好きな音楽で生計を立てられたらいいですけれども、才能の問題もありますから、才能さえ与えられれば（やってみたいと思います）。しかし、保証がないことが好きですね。仕事というのは、何でも保証はありませんが、勤めていたらある種保証があるかもしれません。しかし、最初からそういうことさえ考えなかったということは、そういう保証がない環境で自分が生き生きとできるのではないかと考えたのだと思います。ですから、何かはわかりませんが、仮にもう1度（ビジネスをする）となれば、そういう（保証のない）分野を選ぶでしょうね。最初から「これをやろう」と分野を決めて走るタイプではなく、縁や偶然で出会ったモノに興味を瞬間的に持てば、入っていくタイプです。そこから見えるものを追いかけるという感じが今なのです。現在もそうですが、ずっと（続けて）行きたいんです。「このくらいでリタイアしよう」という考えがあまりないので、ずっと広がっていくためには、あまり飛ばし過ぎると疲れてしまうので、ずっとエネルギーを温存して何歳になろうともひたすら広がるという自分でありたいと思っています。

【聞き手】

比較的きちんとつくっていく、積み重ねていくような感じでしょうか？

【椛澤】

両方でしょうね。大胆にかつ細心にという言葉が自分の中にあるのですが、積極的であり、慎重というと語弊がありますが、要は少しアンバランスなのだと思います。こうだというよりも、両端があるような感じが自分の中では感じているので、それが事業にも現れているのではないかと思います。介護という言葉は使いません。介護は生活サービスだと考えています。私の個人的な考えですが、介護というと、限定された特殊なもののように映りますが、私はそうではなく、介護というのも、高齢者の方の生活をいかに快適にするかということで、そこに介護流のテクニックがあるだけの話です。若い独身の社員の方に快適な寮生活を送ってもらうのと全く一緒なのです。

【聞き手】

そこが、一般的な介護施設との違いにも現れているのかもしれませんね。

【椛澤】

癒しなど、そうした良いところが出ていればいいなと思います。食べるということは、当社の創業時からベースになっているものですから、我々はそれほど意識していませんでしたが、第三者、お客様も含めてやはり食の評価を頂くというのは、伊達ではないのでしょうね。付け焼刃で表面的に同じようなものをつくっても、奥行きを人の中に感じてもらえるのだということの1つが、当社の介護事業における食なのです。面白いことに、今、中国やタイに海外進出していますが、そういった国々は高齢化対応がどんどん進んでいます。パートナーとして、欧米もあれば日本もありますが、だいたい6割強くらい、中国の場合は7割が日本のパートナーを求めるわけです。それで、ネットで探せば出てくるわけですが、当社もその（候補の）中の1つとして閲覧して頂くときに、食（に関心）が来るのです。なぜわかるのだろうかと思うくらいに、介護事業のほかに給食で提携したいと申し出があるわけです。それも数社から来ます。どうやって調べているのだろうかと不思議に思うのですが、有難いことに言っていただけます。同様に、国内の同業他社からも施設内での給食事業の委託を受けます。アウトソースするわけですよね。そのように食を評価していただけるのは大変ありがたいですし、それが当社の1つの強みだと思います。（食は）介護に関わらず、全事業にまたがっていますからね。そのようなことを意識しますね。

【聞き手】

「医食同源」という言葉がありますが、普通は“医食”の“医”は、“医療”の“医”ですが、御社の場合は“癒”という漢字を当てられてらっしゃいます。

【椛澤】

造語ですが、本当の“医”も、生活サービスの中では大事ですので、（この“医”も）あるのですが、もう一方は「リバース・イノベーション」という、つまり我々がアジアに出たことによって学んだことを日本に持って帰るということが、当社のコンセプトの1つにあります。