Vol.1 はくばく入社時に感じた危機感
【ナレーター】
長寿大国日本の健康を脅かす生活習慣病。その改善策の1つとして、近年、大麦や雑穀の利用に注目が集まっている。
そんな中、大麦の新たな魅力を積極的に発信し、国内の消費に影響を与えるまでに成長した企業がある。株式会社はくばくだ。
「The Kokumotsu Company」を標榜し、大麦・雑穀のほか、日本独自の麺類である「和麺」や麦茶の製造販売など、幅広く穀物を取り扱い、食べやすく食物繊維も豊富な「もち麦」が大ヒットした際の火付け役にもなった。
1941年の創業時から続く企業の精神を受け継ぎ、健康と豊かな食生活を実現するために新たな挑戦を続けるはくばく。3代目社長が明かす、挑戦を成功へと導く秘訣に迫る。
―はくばく入社時に感じた危機感―
【ナレーター】
幼少期、創業者の祖父の背中を見て経営者の道を志したと語る長澤。その後、東京大学へ進学し、大手総合商社へ就職。入社当時は漠然とキャリアを考えていた長澤だが、上司のある一言によってその考えを改めさせられたという。
【長澤】
ある時の飲み会で、その話になりました。そこでその上司が「長澤さんも家で何か商売をやっているのか」と聞くから、「今、やっています」という話をしたら、「継がなくていいのか」と言われました。「継がなくていいかは、まだ今決めなくてもいいんじゃないですか」と話をして誤魔化そうとしたら、「そういうわけにはいかない。今、お前は結論を出さないと。きちんとこの会社で勤めるのか、自宅に戻るのか。それは大きな違いだぞ。お父さんと相談してきちんと部長に報告しなさい」というような話になってしまいました。
父に相談したところ「いつかは『帰ってこい』とは言うよな。一生は無理だよな」と。ということで、それを報告したら終わってしまいました。
報告をした時から1年後くらいに「お前の後任が見つかった」と言われたのですが、それも商社としてはおかしいと思います。かなり異例だとは思いますが、突然部長が1年後に「お前の後任が見つかった」と。「え?あの話は生きていたんですか」と。それで3年で退職しました。
【ナレーター】
大手総合商社を退職後、はくばくへ入社。長澤は、大手とは違った組織体制を好ましく思う中で、ある危機感を覚えたと語る。
【長澤】
頑張っている人は頑張っているけど、やっていない人はやっていないという、そういう不満が色々なところから聞こえてきました。組織で動いているというよりも、個人の裁量に委ねられている。やる人はやるし、やらなくてもいい人はやらなくてもいいといったように見えたのです。私からすると、やりたいことができると思ったので好ましく思った一方、これは組織的に何とか変えないとまずいなと、両方思いましたね。
経営者プロフィール
氏名 | 長澤 重俊 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1966年5月5日 |
座右の銘 | 積極一貫 |
愛読書 | dancyu (プレジデント社の月刊料理雑誌) |
尊敬する人物 | 小倉昌男 (元ヤマト運輸社長) |
会社概要
社名 | 株式会社はくばく |
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本社所在地 | 山梨県中央市西花輪4629 |
設立 | 1941 |
業種分類 | 食料品・飲料製造業 |
代表者名 |
長澤 重俊
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従業員数 | 420 名 |
WEBサイト | http://www.hakubaku.co.jp/ |
事業概要 | 『十六穀ごはん』『もち麦ごはん』などの、大麦・雑穀を用いた商品の製造、販売 |